生まれ変わったシベリア鉄道、再び物流の大動脈になれる?「安さよりスピード重視」の戦略

© Sputnik / Vladimir Trefilov東洋トラ ンスの高橋勲(たかはし・いさお)社長
東洋トラ ンスの高橋勲(たかはし・いさお)社長 - Sputnik 日本
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11日、ウラジオストクで開かれている第4回東方経済フォーラムで、東洋トランスの高橋勲(たかはし・いさお)社長がスプートニクのインタビューに答えた。同社はロシア・CIS向け輸送に力を入れており、シベリア鉄道を利用した輸送に携わって40年になる。

スプートニク日本

ソ連時代、日本からヨーロッパへの貨物輸送にシベリア鉄道を使うのは一般的な手段だったが、ソ連崩壊とともに衰退の一途をたどってきた。かつてのシベリア鉄道は安さが魅力であり、その利点だけで勝負できていた時代もあったが、到着までの時間の不透明さ、船から鉄道への積み替え手続きの煩雑さ、貨物の保存状態の悪さなど、様々な問題のために敬遠されるようになってしまった。

しかし今、サービスを向上させて利便性を見直し、シベリア鉄道を物流の大動脈として再構築しようという動きが盛んになっている。

高橋氏「シベリア鉄道の再構築は大きなテーマで、これを日露間物流の大きなルートにすることで、日露経済協力に貢献できるのではと考えています。日本とロシアの物流関係者が力を合わせ、シベリア鉄道輸送を復興させようと動き出しています」

今年度は国土交通省により、シベリア鉄道による貨物輸送パイロット事業が行われている。これはロシア鉄道と協力して進めているもので、海上、航空に続く第3の輸送手段の選択肢としての利用促進に向けた事業だ。パイロット事業として選ばれた7つの企画のうち2つは、東洋トランスの輸送プロジェクトだ。8月29日に横浜港で開催された記念式典では、精米を積んだコンテナがモスクワへ向けて出発した。これらのプロジェクトでは、利用促進のための課題を現場レベルで検証していく。

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横浜港での記念式典©TOYO TRANS INC.  - Sputnik 日本
横浜港での記念式典©TOYO TRANS INC.

高橋氏「パイロット事業を通して、日露政府がシベリア鉄道の改善に取り組んでいると知ってもらうことはお客様(荷主企業)へのアピールになりますし、海上なら2か月弱かかるルートを、3週間程度で運べるということで、鉄道のメリットにお客様が気付き始めています」

シベリア鉄道輸送を安定化するには、ロシア鉄道による特別な貨物専用車の導入、税関や接続ポイントでの滞留時間の短縮化など、あらゆる方策を複合的に導入する必要がある。高橋氏は、「ヨーロッパ向けの貨物であれば税関手続きを簡素化するなど、荷主企業にメリットのあるポイントを増やしてほしい」と要望している。

ただ、貨物そのものの量が増えなければ、貨物専用車も編成できない。ロシア極東への投資促進に向けサポートを行っている野村総合研究所の中島久雄(なかじま・ひさお)執行役員は、日本からの貨物を増やすにはどうすれば良いかとのロシア側の問いに対し、投資家の立場からではなくクライアント目線を大事にし、最先端技術の導入に過度な投資をするよりも、荷主のニーズを満たしているかどうかを主眼に置くべきだと主張した。

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