スプートニク日本
5月にサハ共和国の首長に就任したばかりのアイセン・ニコラエフ氏(前ヤクーツク市長)は、「スマートシティとは、今日やらないなら、明日やらなければいけないもの」とスピード感を強調する。サハ共和国ティクシ市では、日本がロシアに提示している8項目の経済協力プランのうち「エネルギー開発協力」の一環として、風力発電プロジェクトが予定されている。冬が8か月も続くティクシのような僻地では電気代が高く、住民への補助金が地方財政を圧迫している。発電の低コスト化と電力の安定供給は、サハ共和国の命題だ。ティクシにはすでに、駒井ハルテックの風力発電機3基が建設されており、まもなく発電実証実験が始まる。
いっぽう、大都市では、どこも渋滞に悩まされている。そこで注目されているのが、日本を代表する信号システムメーカー、京三製作所による高度交通信号システム「ARTEMIS」だ。ARTEMISは、交通量に応じて自動的に信号を調整し、渋滞の解消を図る。昨年、モスクワの交差点に同システムを設置したところ、最大40パーセントの渋滞緩和効果があった。ARTEMISの実証実験は、モスクワ、ヴォロネジに続き、つい先日ウラジオストクでも開始された。これらの実験結果を含め、今後ロシア国内20の都市で普及活動が行われることになる。
風力発電と渋滞解消の技術実証プロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によって進められている。NEDOの石塚博昭理事長は、「NEDOがロシアで実証している事業は8項目の協力プランに基づいたものです。両首脳はもっと日露関係を強固にしたいというご意向をお持ちなので、NEDOはそれを当然フォローしていきます」と話し、現在進行中の実証事業以外にも、新しいプロジェクトを行う予定であると明かした。