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米国は先日、中国共産党中央軍事委員会装備発展部とリ・シャンフー同部部長に対する制裁を発動した。同制裁は、中国がロシアから戦闘機Su-35を10機と地対空ミサイル「S400」数基を購入したことを米国が咎め、「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」の枠内でとられたもので、発動された翌日、中国外務省はテリー・ブランステッド在中米国大使を呼び出し、「誤りを正」し、制裁を解除するよう要請している。この際に中国側は最悪の場合は中国も報復措置を取る権利があることを明言していた。
米国は、制裁の最終目的はロシアが他国と行う軍事技術協力を縮小することだと明言しているのだが、この目的こそ、ほとんど達成されることはない。ロシア国防省はその理由について、総額30億ドル超に上るS400やSu-35の供給契約は2014年、2015年に締結されたもので、そのほとんどはすでに履行されているため、米国の制裁は契約の全面履行に全く障害にならないと力説している。この他、中国にとっては米国からの政治的経済的圧力が高まる中で最新鋭武器の最大のサプライヤーであるロシアとの協力を打ち切るのは得策ではない。唯一この中で変化があるとすれば、それは契約の決済方法であり、おそらくロシアと中国はドル建ての相互決済を止めるだろう。
モスクワ・カーネギーセンターで「アジア太平洋の中のロシア」プログラムを率いるアレクサンドル・ガブエフ氏はスプートニクからの取材に次のような見解を述べている。
中国は1990年代初頭から、ロシアの軍事機器を熱心に買いあさってきた。1992年末、ロシアは中国向けの戦闘機Su-27の最初の供給契約を履行した。1995年、今度は第2弾の戦闘機供給契約が結ばれた。この際のバーター取引の占める割合は70%に達していた。中国にとっては武器供給への支払いは、外貨で行うよりも製品で払うほうが得だったし、ロシア市場は当時、民間消費材の不足に喘いでいた。この他にも軍産複合体は輸出に頼っていたため、軍事技術協力は1990年代末までバーター取引の形で続けられていたのだ。ガブエフ氏は、現在の条件で両国が昔ながらの方法に戻ることには何の支障もないとみている。ただ、両サイドの市場ニーズに合わせて品目リストを組み立てるだけの話だ。
ロシアとパートナーを組んで、最新の軍事技術の開発を行うようになってきた。ロシアは中国のレーザー誘導爆弾中距離型高射砲ミサイル複合体の開発に手を貸した。露中はグロナスと北斗衛星導航系統とを合わせ、統一の衛星測位システムを作ろうしており、軍事省庁は人材養成や合同演習を共に行っている。
中国は先日、1981年以来最大規模の軍事演習に参加したばかり。合計30万人の軍人の参加した演習に中国は3200人を送り込んだ。専門家らは、演習の目的は外敵の攻撃に対する報復行動の刷新だったと指摘している。