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ホップ被告が帰属していたコミュニティとは、チリの農村にあるドイツ系移民による宗教コミュニティ「尊厳のコロニー(ビジャ・バビエラ)」。パウル・シェーファーが設立した。元軍医であったシェーファーは1961年前にコミュニティを設立する前、ドイツで児童虐待で起訴されてラテンアメリカ諸国に逃亡。
同コミュニティは正式に慈善団体だと見なされていた。だが実質的には有刺鉄線で囲まれた閉鎖半軍事地区で、住人はパスポートも金銭も所有していなかった。ここでシェーファーは嗜虐心を十分に発揮した。コロニーでは子供も大人も暴行や拷問を受け、殺害された。シェーファーの最も活発な共犯者こそが、ホップ被告だ。
2006年、チリ裁判所はシェーファーに20年の禁固刑を言い渡した。シェーファーは獄死したが、最後まで懺悔しなかった。
2011年、チリの裁判所が児童性的虐待でホップ被告に懲役5年を言い渡した。だがホップ被告は法の裁きからドイツに逃げおおせた。チリ当局の要求を受け、2016年、ホップ被告はドイツ・クレーフェルト市で勾留された。だが2018年にはホップ被告の弁護団が釈放にこぎつけた。
こうした判決にはドイツ社会・政界でも疑問の声が多く上がった。シェーファーとホップ被告の被害者の1人であるウィルフリード・ヘンペルさんは、この判決を「ドイツに避難所を探し求める世界の全小児性愛者への招待状」だと批判した。
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