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過去5年以内に海外への輸出実績がない会社のための「ニューチャレンジャー枠」で参加したのは、マルイチ前田商事だ。営業課長の安藤博さんは、主要アイテムとして辛子明太子のソースを紹介。
「国内マーケットの縮小に伴い、ロシアを含めたヨーロッパに販路を広げたい。魚卵をパンに塗って食べる文化があるロシアでパイオニアになれれば」と話している。
朝から晩まで行列が途絶えなかったのは、八重山クロレラ「藻茶」とクロレラのタブレットを紹介した株式会社ユーグレナのブースだ。同社はミドリムシの研究を行なうバイオベンチャーとして知られている。ヘルスケア事業部の大美賀章裕さんによれば、4年前にロシアで市場調査を行なった際も、反応は上々だったそうだ。大美賀さんは「ロシアだけでなく、中東やアジアの業者も興味を持ってくれ、ビジネスが広がりそうだ。ロシア人は健康志向が高い」と、手ごたえを感じている。
ブースを訪れた業界関係者は「藻茶は美味しいとは言えないが、健康に良いとわかっていれば問題なく我慢できる」と話した。
見本市や商談会をサポートしている、ジェトロ農林水産・食品事業推進課長の和波拓郎さんによると、ジャパンパビリオンに参加した9社は入念な準備の甲斐もあり、ビジネス拡大に向けてパートナー候補との商談が進んでいるということだ。アジア圏と違って日本企業間の競争が少ないロシアでは、まだパイオニアとして進出できる余地がじゅうぶんにある。日本企業だけでワンフロアを占める香港やシンガポールの見本市と違い、ロシア市場に関心をもつ日本企業の絶対数はまだ少ないのが現状だ。
日本政府は2019年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円へ拡大する目標を掲げている。ワールドフード・モスクワの結果は、この目標の達成を助けることになるだろう。