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こうした非依存的な方針は何より、米国からの金銭的な自由を要求する。特に、国際銀行間通信協会(SWIFT=スイフト)に似た、制裁に依存しない決済システムが求められる。システム創設の可能性は今日、諸専門家の大きな関心を呼んでいる。
米国がイラン核合意から離脱した後、EUは米制裁に左右されないイランとの貿易メカニズムの設置を支持し、スイフトに依存しない決済システムを検討した。これに続いたのが、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の苛立ったレトリックだ。ボルトン氏は、米国がEUにもどんな国にも対イラン制裁を迂回させないと表明した。だがドイツのマース外相は、スイフトに依存しない決済システムを作る作業は欧州ですでに始まっていると明らかにした。
だが今のところ確認されるのは、EUがイランで自らの経済的利益を守る準備だけだという見方を、ロシア政府付属金融大学政治学部のゲヴォルグ・ミルザヤン助教授が示した。
特筆すべきことに、EUは、ロシアとの共同プロジェクト「ノルド・ストリーム2」の実現参加を控えるよう提言する米国も無視した。そして米制裁に反対するEUの「反逆」制圧はおそらく、もう上手くいかないだろう。スイフトに似たシステムは、米国の方針から世界経済システムが被るリスクを下げるための一種の「金融多角化」を目的としていると、ミルザヤン助教授は指摘する。
「世界のほぼあらゆる者にとって、米国の制裁政策が限られたケースではなく、広く用いられ始めた米国の政策なのだと明白になりつつある。そして、(制裁は)近頃までの北朝鮮のような、ならずもの国家に対してだけではなく、時にはスイスなどに対する国にさえ(あり得る)。米国がスイスの銀行に、米国の納税者情報を開示するよう強要したことを思い出すだけで十分だ。実行しなければ制裁だと脅した。こうしてスイスは2009年、数百年ぶりに初めて銀行の秘密を破壊して、信頼おける金融オアシスの地位を失った。モスクワのスイス大使イブ・ロシエ氏が最近、スイスはスイフトに代わるシステム創設に関与する可能性を除外しないと発表したことは驚きではない」
「『ノルド・ストリーム2』に対する制裁はまだない。だが米国の制圧が弱まることはない。EUは非常に実利的で、彼らにはロシア産ガスが必要だ。そのためもし新たな決済システムが創設されれば、システムは必ず機能する」