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LG経済調査研究所のリー・ジピョング(Lee Ji-pyeong)上級研究員がこの件についてスプートニクに説明した。
「日本企業がすぐに賠償金を支払うには1つ困難な点がある。それは、対象者が20万人を超えることだ。そして何より日本企業が懸念することは、潜在的な受取り手が増えることだ。さらに、強制動員の被害者は朝鮮だけでなく中国にも東南アジア諸国にも多くいる。そのため、日本の観点からは、これは、パンドラの箱とも言える」
支払いがあまりに高額になる可能性があり、日本政府からの仮設的な支払いすら問題になる。さらに日本の立場からは、日韓基本条約で戦後賠償は法的にも解決している。金銭はすでに支払い済みであるため、今回の判決は不公平に見えるという論理だ。
「日本側は、法的紛争の場合は勝利すると確信している。そして実際に、韓国が法廷で勝利するのは容易ではないだろう。しかし韓国政府は世論を考慮すると行動する必要がある。そのため、現在の動きは全て、終結しないだろう。これは答えの一部に過ぎず、韓国政府から日本政府への圧力は継続するかもしれない」
「日本政府はおそらく、自国企業に自発的には何も支払わないよう助言するだろう。そして二国間政府レベルで衝突が起きれば、この紛争の影響は増加するだろう。だが総じて、韓日関係はすでに悪化したとも言える」
韓国に向かうはずだった投資はおそらく、中国に向けられる可能性が高い。そして貿易や投資、仕入れなどが中国に消える分だけ、韓国は損失を被る。
そしてこれは、長い目で見れば輸出量や労働力の移動などの数値を低下させるほか、日本での韓国のイメージに大きな害をもたらす恐れがある。
「日本人はこの問題を非常に敏感に受け止め、『韓国はルールを無視する国だ。あいつらは自分が政府間レベルで合意したことを拒否している』と考えて全協力分野の再検討を始めるかもしれない。信頼度が落ち、投資が削減される。貿易も減少する。だが2国間貿易の基礎は部品と材料から成っており、外交的衝突が経済に瞬間的に影響する可能性はあまり高くない」
しかし、燃え盛る紛争を迅速に消火しないと、韓国にとって少なからぬ損失となって返ってくる可能性がある。韓国の日本との貿易額は中国、米国、香港、ベトナムにつづいて5番目を占める710億円だ。海外で活動する日本企業の購入額はそれよりかなり多く、1810億円。そして膨大な購買力を持った日本が韓国企業を無視し始めると、大きな損害がもたらされる。
だが日本人はこの問題で韓国人と少し異なり、驚くべきことに、政治問題を個人的に受け止める傾向が強いとピョング氏は指摘する。彼らは外面には出さないかもしれないが、内面では「あそこがあんな雰囲気のときになんで韓国に行かなきゃならないんだ?」と思うだろう。ピョング氏が見方を示すところ、企業の反応も圧倒的大多数で次のようなものになるだろう。「海外での韓国との仕事にどんなリスクが関係しているか不透明だ。新しい事業は始めず、すでに行ったことだけをした方がいいだろう」。
韓国や日本のような巨大プレーヤー間の経済交流の減少は最終的に、東アジア全体の経済に悪影響を及ぼす可能性がある。これは当然、誰の特にもならない。