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メドベージェワは昨年、誕生日を祝いながら、まさか1年後の19歳の誕生日をカナダ、トロントのリンクの上で迎えることになろうとは全く想像もしていなかっただろう。メドベージェワは今、自分としては今季2度目のグランプリシリーズ出場を前に額に汗して特訓中だ。1度目の出場で3位に甘んじた彼女はこのまま成績が振るわなければファイナルへの出場権も逃しかねない。
それでもメドベージェワは怪我の回復に焦点を絞り、五輪にはほぼ理想的な状態で出場した。ところがその努力だけでは足りなかった。突然の怪我の他にも2017/18シーズンは不意打ちがあった。それはここ数年で初めての本格的なライバルの出現だった。
当時、15歳だったアリーナ・ザギトワはジュニアの枠から出たばかり。移行期の年齢の問題も抱えておらず、自分の体を見事に操り、より複雑なテクニックを見事にプログラムでこなしていた。五輪までのシーズンのスタートから半年の段階でザギトワはファンや審査員の絶対的な評価をものにし、平昌五輪の時点では芸術性、音楽との調和、連続した技の美しさの客観的評価でメドベージェワに全く劣らなかった。
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平昌五輪で優勝できなかったことは、根本的な変化をもたらした。メドベージェワはコーチを変え、ロシアからカナダに拠点を移した。彼女の次なる目標は次の北京五輪で勝利することだ。メドベージェワの携帯電話の待ち受け画面には「北京2022」と書かれている。
ブラウン・オーサー新コーチのもと、メドベージェワは自分の弱点のジャンプであるルッツとアクセルを克服しようと努力している。オーサー氏はこの2種類のジャンプをあえてプログラムに組み込んでいる。メドベージェワがこれらのジャンプを頻繁に飛んでみせ、恐怖心を抱かないようにするためだ。
今シーズン、メドベージェワはまだ一度も大会で優勝していない。シーズン開幕直前、カナダで行なわれた「オータム・インターナショナル・クラシック」では二位になり、カナダで行なわれたグランプリシリーズでは三位になった。
この先、メドベージェワには、それと同じくらいの試練が待ち受けている。彼女にとってグランプリシリーズ二戦目となるフランス大会が11月23日から25日に向けて行なわれる。ファイナルに安心して進むためにも、全ロシア選手権大会に出るためにも、グランプリシリーズフランス大会での優勝は必須となる。全ロシア選手権では、ヨーロッパ選手権と世界選手権の出場資格を得るために、ベスト3に入らなければならない。この2つの課題は、もっと年の若い他の強豪選手がいることを考えれば、現在のメドベージェワには非常に難しいように思える。
しかしオーサー氏は、メドベージェワの成功を疑っていない。「私の経験では、変革のプロセスというのは一年半はかかります。まだ私たちは5か月しか一緒にやっていません。ジェーニャはスーパースターになりますよ。五輪で二連覇した羽生結弦も、私のもとにやってきたばかりのときは、世界選手権では銅メダルの選手でしたから」
メドベージェワは、19年のフィギュア人生は、まだ始まったばかりだと証明することになる。
もしかしてその起爆剤となるのは、大胆なプログラムとともに華麗に氷上への回帰をとげたエリザベータ・トゥクタミシェワかもしれない。彼女はグランプリシリーズ日本大会NHK杯で3位となった。この結果はカナダのバンクーバーで行なわれるファイナルへの出場を大きく後押しするものだ。
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