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元旦に放送されたテレビ朝日によるインタビューで安倍首相は、ロシア人の現島民をどうするか、どんな将来像を描いているかと問われ「ロシア人の皆さんに『あなたたち、出ていってください』という態度では、これはもう最初から交渉は成り立ちません。ここに住んでいるロシア人の方々が日本に帰属が変わるということに納得していただける、受け入れていただく形でなければいけない」と述べた。
ロシア外務省は上月大使への抗議の中で、日本側のこういった発言は「1956年の共同宣言を基盤とした交渉プロセスの迅速化という露日両首脳による合意の本質を乱暴に歪曲し、交渉内容に関する両国の世論を惑わすもの」との見解を示している。
中村氏「島民への対応や賠償請求権といったテーマは、両国首脳が共同で発表する類のものです。これでは、イニシアチブは完全に日本にあることになってしまう。それについてはロシア外務省の抗議の中でも明確に書かれています。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は何度も、平和条約交渉は、日本が無条件に第二次世界大戦の結果を認めた上で進められるべきものだ、と発言してきました。日本が、現島民を追い出さず、元島民に対して日本政府が補償する方向で検討しているということは、ロシアからすれば第二次世界大戦の結果を『受け入れていない』証拠だと受け止めるかもしれません。なぜならこの補償とは、ロシアが不法に領土を占拠したことに対する補償だからです」
首脳会談の準備として、河野太郎外相が12日から16日までロシアを訪問することが決まっている。14日はラブロフ外相との会談があるが、河野氏は非常に難しい立場に立たされることになる。
中村氏「ラブロフ氏との交渉は厳しいものになり、河野氏は様々な不快な発言を浴びることになるでしょう。もしかすると21日の首脳会談を延期しよう、というロシア側のメッセージを携えて帰国するはめになるかもしれず、最悪の場合、期限の提示すら無いかもしれません。私は、日露首脳会談は、河野氏が『第二次世界大戦の結果を受け入れる』と発言した場合にのみ、21日に成立するのではないかと考えます。しかしそれは簡単なことではありません」
ロシアとの平和条約締結交渉について「1月の首脳会談において具体的な進展を見たい」と話す安倍首相。ロシアとの温度差が急激に浮き彫りになった形だ。
両者のすれ違いは、それぞれが異なった情報に基づいて行動しているせいかもしれない。中村氏は「安倍首相とプーチン大統領が有している情報は、互いに異なっているという感覚がある。それにロシア外務省は、メディアの報道に大いに立脚していると感じる」と指摘している。