スプートニク日本
韓国の元外交官で、政治学の教授として関西外国語大学で教鞭をとっているChang Booseung氏は、元徴用工の個人請求権問題、「狙いを定められて」起こったとされるレーダー照射問題は、安倍首相の対外政策に影響するものではないと考えている。なぜなら彼の意見によれば、安倍氏の目的は第一に、中国そしてロシアとの関係を整えることだからだ。
「安倍氏は中国との関係を正常化し、次はロシアとの関係をよくしようとふんでいるようです。実に、日本国内でも、新年に放送された対露関係についての安倍氏のインタビューは、日韓関係よりもずっと大きい注目を浴びました」
Chang氏によれば、日本が徴用工問題で韓国に対し協議を求めたことは、ある程度のレベルで和解のシグナルかもしれない。しかし明らかに支持率の低下している文大統領にしてみれば、日本との関係を正常化することは自分で自分の首をしめることになる。安倍氏にしても、4月の統一地方選、7月の参院選を前にして、外交カードを自分の目的にのっとり利用するのは当然だろう。
昨年10月の日中首脳会談では、両国は全体的に関係を改善させることができた。ロシアとは、安倍氏はクリルの早期返還を訴え、関係を先鋭化させている。しかしこれはプーチン大統領との会談の重要性と、自身の力で「北方領土」問題を解決したいという意思を強調する試みである。
韓国との関係は現在、まったく反対のロジックをとっている。日韓関係が悪化すればするほど、自民党にとって有利になる。もし反韓感情が実際に、統一地方選と参院選の勝利に一役買うならば、両国関係を正常化させることは一層困難になるだろう。
唯一、この状況を変えられるものがあるとしたら、韓国人がかつての「迫害者」らときちんとした関係を築くことに、真剣に関心を持つことだ。しかしそのような転換が起こる可能性は今のところとても少ない。