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「サンフランシスコ条約によると、南クリル諸島(北方領土)の新たな法的地位はどの国についても全く定まっていなかった。サンフランシスコ条約の当初の草案では、日本が南クリル諸島を放棄してソ連に譲渡するとされていた。だが半年後、最終稿から米国がこの条項を条約から取り除いた。ソ連はこうした形の文書への署名を拒否した。だがソ連の法的継承国家としてロシアは今日、国際法的に全く合法的に南クリル諸島を所有している。確かに、『事実上』、つまり歴史的な理由によるものだが。これは、一定期間他の誰もこの諸島に対する権利を主張しなかった時の事実上の状態を意味する」
また、日本には50年代、サンフランシスコ条約と同様の条件でロシアとの2国間平和条約に署名する可能性があった。サンフランシスコ条約第26条によれば、日本にはその期間として3年が与えられていたとクジミンコフ氏は述べる。
「だが文書には、『この日本国の義務は、この条約の最初の効力発生の後三年で満了する。日本国が、いずれかの国との間で、この条約で定めるところよりも大きな利益をその国に与える平和処理又は戦争請求権処理を行つたときは、これと同一の利益は、この条約の当事国にも及ぼさなければならない』と明記されている。この当事国とは米国をはじめとする約50カ国だ。(日本政府が望むように)平和条約関係でロシアと日本が双方に有利な条件で南クリル諸島に対するロシアの主権を1島でも検討し始めたとしよう。この場合、即座に第26条が発動する。そして米国は、サンフランシスコ条約によると地位が結局定められなかったクリル諸島と南サハリンの領有権を主張する可能性もある。これはロシアにとって全く受け入れられないことだ」
いずれにせよ、交渉は続行中だ。しかし一方で、両国が「平和条約のテキストに、ロシアと日本がお互いに対する敵対的軍事行動を控えるという安全保障に関する特別な条項を組み込む可能性を」検討することが、今後の対話の基盤になる。