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落ち着いた場所
ダナンが会談の開催候補地として言及されるのは理由がある。米朝首脳会談が難しい交渉になるのは確実。そのため首脳らが面と向かい、冷静に腹を割った話合いができる場所の必要性は明白だ。だがこれは北朝鮮からの大きな譲歩となり得る。こうした見方を示すのが韓国・慶尚大学校の朴鐘喆教授だ。
一方、ダナンではなくても、開催地は恐らくベトナム国内だろう。朴教授は北朝鮮の情報機関本部の動きに詳しい韓国の情報機関高官の話として、北朝鮮がベトナムに第一陣をベトナムに派遣したと述べる。限られた資源を考慮すると、会談の環境整備のために複数の候補国に複数の専門家グループを送る余裕が北朝鮮にあるとは考えづらい。
輸出用ミサイル
第一回米朝首脳会談で非核化に関する具体的な合意を達成せず、昨年6月から北朝鮮に新たな実質的な動きが見られない状況は、第二回首脳会談が開かれれば、状況を打開する合意が結ばれるはずだという考えを生む。
「昨年9月、すでに寧辺核施設の完全な閉鎖が検討されていた。そのため、第二回米朝首脳会談ではより踏み込んだ非核化プロセスの公表が期待できる」
こう指摘するのは韓国の民間シンクタンク世宗研究所北朝鮮研究所の張成昌所長だ。
北朝鮮が望むもの
北朝鮮が核軍縮に向けた動きの見返りに求めることの1つは、新たな指針である経済優先の実現を阻む制裁の解除だと張氏は指摘する。
「北朝鮮が米国からまず要求するものは、金融制裁と石油製品の輸入制限の解除、その他制限措置の緩和だろう。解除する制裁のレベルに関して、米朝は激論を展開するだろう。だが、戦いは厳しいものになるとしても、トランプ氏も金氏にも今は取引が必要だ」
張氏は、2つの要因から問題解決の成功が期待できると指摘した。第1に、北朝鮮の対米交渉担当が崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官からより柔軟な戦略を持つ金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長に変わったこと。第2に、米朝が多くの点で意見を共有しており、複数の小さな譲歩によって、最終的により重要な結果を手にできるかもしれないということだ。
米国の動きは
朴鐘喆教授は「北朝鮮国内に米朝の高官や研究者がチームとなって活動する連絡オフィス設置を協議するという見方がある。オフィスの役目は非核化の推進だ。選挙を前にして、こうしたオフィス設置はトランプ氏の再選の理由になり得る」と説明する。
行動のための行動
だが最悪のシナリオも考慮する必要があるとして、張成昌所長は次の見方を示す。
「第二回首脳会談の準備に残された時間はわずかだ。そして問題は、核軍縮実現に向けた現実的で実践的な措置が策定されるか否かにある。そのためには米国側は『行動のための行動』という基本的な立場を保持する北朝鮮に対する明白な信頼をはっきりと示す必要がある」
「両首脳に合意遵守の意志と可能性がなければ、実務レベルではいつでも衝突が起きうる。そして北朝鮮が大陸間弾道ミサイル廃棄の手続きと手段の問題に関して強固な対応を見せれば、最終的な非核化合意が完全に瓦解する可能性もあることを無視してはいけない」