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これらの声明は、領土問題解決と露日平和条約締結の鍵が2国間関係以外にもあることを示唆しているのか?スプートニクは、これらの声明は誰に向けたもので、米国がより頻繁に言及される理由を、政治学者のゲボルグ・ミルザヤン氏に伺った。氏は、安倍首相の声明がロシア外務省に向けられていないとする見方を示した。
「国内向けの発言であり、依然として領土問題を解決する決意に満ちていることを強調している。米国への言及により安倍首相は、日米安保条約に関わらず、日本は米国の家臣ではなく主権国家であり、(一部引き渡された場合も)南クリル諸島への米軍基地設置は米国が単独で決定できるものではないと示唆している。設置には日本の同意が不可欠だ。」
諸島の「主権は我が国が有する」という安倍首相の発言に関しては、ロシアは自制心を働かせるか、そもそも全く反応するべきではないとミルザヤン氏は指摘する。「安倍晋三首相は今、日本の対米依存度を実際に減らす憲法改正を推進するため、参議院での圧倒的勝利が必要だ。ロシア政府も依存度低減に関心を抱いている。ロシア側が感情に任せてクリル諸島に関するさらなる交渉は無意味だと発表してしまえば、私たちは安倍首相を隅に追い詰めてしまうだけだ。安倍首相はただ有権者の前で面目を失う。だがこれはロシア政府に必要なものではない。なぜなら両国の首脳は、南クリル諸島に関する難しい対話を続け、妥協点を見出すことに共に関心を抱いているからだ。」
だが受け入れ可能な妥協案がいつ提案されるかは誰もわからない。安倍首相とプーチン大統領の首脳会談は2013年から25回行われている。だが昨年11月、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が開催されたシンガポールで行った首脳会談になって初めて、双方は1956年のソ日共同宣言に基づいた平和条約締結交渉の加速で一致したと考えられている。
ロシア外務省のザハロワ報道官はすでに、「交渉プロセスとハイレベルでこぎつけた合意から離れたところで出された日本側の表明」にロシアは満足していないと反発した。だがザハロワ氏は交渉が停滞しているとの見方には反論。「作業は進んでいる」と述べた。
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