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ジャパン・ニューズ紙が伝えているところでは、軽空母の特性を備えた強襲揚陸艦「アメリカ」(排水量4万4千トン、全長およそ260メートル)を派遣する目的は、極東の海域における米海軍部隊を増強することだけではなく、中国に対する軍事的圧力を強化することにもあるという。
一方、別の軍事専門家コンスタンチン・シフコフ氏は、揚陸艦「アメリカ」について、汎用性のある強襲揚陸艦「ワスプ」と比べて戦闘特性が何倍にも改善されているため、真剣に受け取る必要があると指摘し、次のように述べている。「『アメリカ』は、完全な戦闘指揮・情報管理システムと、より効果の高い対空防衛手段を有している。だが、最大の違いは航空部隊が拡大されていることだ。つまり、『ワスプ』に搭載されている航空機は、最大40機のヘリコプターあるいは垂直離着陸能力を備えたF35戦闘機だ。一方、新型艦は最大50機まで搭載可能だ。それに加えて、『アメリカ』は上陸部隊を編制するための条件がより改善されているほか、兵器の組み合わせは最大の規模となっている。それだけではなく、内部には複数の上陸用舟艇を搭載でき、軍事作戦の際には揚陸艦から海岸にこれらの舟艇を素早く上陸させることができる。その際、これらの舟艇はヘリコプターによる支援も受ける。さらに、これら全ては、海兵隊による上陸任務の遂行を目的にしている。これに関連して、ある当然の疑問が生じる。その海兵隊はどこに上陸することになっているのか、という疑問だ。目標地点が多数あるかもしれないことは明らかだ。即ち、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の付近だ。だが、南クリル諸島(北方四島)もまた、遠くない場所にあることを忘れてはならない」。
この見解についてシフコフ氏は、驚くべきことは何もないとして以下のように語っている。「記事の中では、ロシアで既にかなり以前から疑われていないことが確認されているだけだ。南クリル諸島は米国にとって、オホーツク海をコントロールするために不可欠なのだ。というのも、この島々が極東において、弾道ミサイルを搭載したロシアの潜水艦に対し、信頼できる戦闘能力を以て対抗していくことを可能にする唯一の地域だからだ。残りの全ての地域は既に、米国による地球規模の『統合水中監視システム(IUSS)』の管理下にある。その結果、現時点では、南クリル諸島は我々の国にとって戦略的なものであり、これらの島々は日本に引き渡された場合、極東においてロシアと対峙する前哨基地に変貌するかもしれない」。
この見解については、「海軍支援運動」の指導者を務めるミハイル・ネナシェフ大佐も、これを支持するとして次のように語っている。「米国はアジアで今後常に、自国が日本国内に軍事的拠点を置いていることによる資源と可能性に支えられていく。上陸作戦の観点から見た米国の戦闘能力の強化は、何よりもまず、中国とロシアに向けたシグナルだ。それだけではなく、日本の軍事関係者らに対して米国の能力を誇示することでもある。知られているように、日本のエスタブリッシュメントのかなりの部分は親米的な態度をとっている。軍事エリートもまた例外ではなく、その外交は常に米海軍の軍艦に支えられていくことになる」。
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