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五輪金メダルと代表団の勝ち取った銀メダルでザギトワが受け取った額は1300万ルーブル(約2200万円)。グランプリの2大会とGPファイナルでの金メダルで6万1千ドル(6700万円以上)。これに欧州選手権の賞金2万ドル(約220万円)。ザギトワはこれだけの額を若干15歳で稼ぎ出した。五輪後、クレムリンからは高級車BMW X5が贈られている。エクスプレス・ガゼータ紙はこんな話をきいた親たちがわが子を何としても第2のザギトワにしようと切磋琢磨するのもうなづけると書いている。
とはいえ、急に収入が増えたからといって、すべてが劇的に変わるわけではない。
ザギトワのライバル、エフゲニア・メドベージェワ(19)だって負けてはいない。
世界選手権2冠を果たして獲得した額は9万ドル(約1千万円)。さらに欧州選手権で勝ち取った2つの金メダルが4万ドル(約443万円)を、平昌五輪の2つの銀メダルは国、スポーツクラブ、モスクワ市からの報奨金を合わせると800万ルーブル(約1350万円)を彼女にもたらした。
これにクレムリンから贈与の独BMW X4が加わった。グランプリ(GP)で5つの金メダル、GPファイナルで2つの金メダル、これによってさらに14万ドル(1500万円以上)が入った。エクスプレス・ガゼータ紙は、スポーツ界には報奨金の30%は監督に渡すという不文律があるため、トゥトベリーゼ監督がメドベージェワが去ったことを悔しがるのも無理はないと書いている。
メドベージェワはスポーツ製品のNIKE(ナイキ)、ヘアケア製品のパンテーンなど複数の企業のコマーシャルに出ていることも忘れてはならない。メドベージェワのエージェント役を務めるレヴァン・マトゥア氏は、メドベージェワにSNSを通して稼ぐ方法を吹き込んだのは自分だと打ち明けている。マトゥア氏がジェーニャに代わって書いているインスタグラムに入るコマーシャル・ポストはロシアの有名芸能人より稼ぎがいい。これに加えて収入の道を開いてくれているのが日本でのアイスショーの出演だ。1回の出演でジェーニャは1万ドル(約110万円)を受け取った。
我が子をフィギュアの道に進ませるようと、親たちが高価な品、マンションを売り、孟母三遷までして、尽くす例は過去にも少なくなかった。よい監督に育てられれば、チャンスはぐんと高まるからだ。
権威ある大会へ勝ち進むことができるのはほんの一握りの神童だけだ。だが勝とうと勝つまいと出場するには高品質のスケート靴も、コスチュームも要る。それぞれ8千~1万ルーブル(1万3千円~1万7千円)、最低で2万5千ルーブル(4万2千円以上)はする。これに補習のトレーニングをつけてもらおうとすると支出はもう際限がない。
我が子をフィギュアスケーターに育てようとすれば、親は財布のひもを締める暇がない。が、子どもに才能があればそれを伸ばしてやりたいと思うのが親心だ。ザギトワ、メドベージェワが血のにじむような努力を重ねて勝ち取った勝利と報償。彼女たちは支えてくれる家族あってこその勝利ということをよく理解している。
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