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研究を行ったのは墺クラゲンフルト大学のパウル・シュヴァイツァー氏と葡ミンホ大学のミゲル。ポルテロ氏。ふたりは英国、ウェールズ地域の住人20万5277人の1971年から2011年までの国勢調査データーを分析した。この住人のうち、39%が2011年までに死亡している。研究者は社会的地位、年齢、家族状況、死亡時刻と原因、子どもの有無の間にある統計的な関連を調べた。その研究の結果をオーストリアのデル・スタンダード紙が掲載した。
研究では、50歳から90歳の女性の場合、子どものいる人はいない女性と比較して、がんによる死亡率が72.5%低く、感染による死亡率は半分、心臓病、不幸な事故、殺人、自殺による死亡率も3分の1低いという数値が表された。
こうした傾向は男性にも同様に現れた。子どもがいる男性はいない人と比べて感染、ガン、梗塞による死亡率は3分の1低く、自殺、殺人などの不幸な事態による死亡率も半分だった。
感染リスクの低さについては、親の免疫システムは子どもが様々な病原菌を持ち込むことによって強化されると説明しうる。ただしこのほかのケースで子どものいる人の死亡率が低い原因については、まだ研究の余地があり、記事では「子どもは親の生活スタイルの『健康回復』に一役買う者の、子どもがいない場合、不健康な生活様式に陥りやすいからではないか」と考察がなされている。
研究では、高収入、財産の有無といった他の要因が寿命にどう影響するのかも調査対象とされた。研究を行った2人は「裕福な人たちはもちろん長生きする。ただ、どんな場合も子どもがいることは高収入や不動産の所有よりもはるかにポジティブな影響を及ぼすという事実がわかり、驚きを禁じ得ない」と感想を漏らしている。