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スプートニク:埼玉で開催される世界選手権でロシアの女子選手の最大のライバルとなるのが日本人選手です。日本のフィギュアスケートをどのように評価していますか?
ドミトリエフ氏:ロシアのコーチは多くの場合、グループで選手を指導します。日本の指導の最大の強みは、一人の選手を個別に指導するところにあります。また、今はコーチの指導の境界線も大きく広がりました。コーチ自身が何か新しい知見を得るために、さまざまな国のセミナーに行くことができるようになりました。例えば、ロシアやアメリカやカナダです。これは私たちコーチ全員にとって良い学校なのです。そして、おそらく、現在のフィギュアスケートがこれほどまでに難易度を高め、進化していることの理由のひとつでもあるでしょう。フィギュアスケートがとても愛されている日本も、その例外ではありません。
スプートニク:埼玉の世界選手権で金メダル候補の一人となっている紀平梨花選手はフリーでトリプルアクセルを跳びます。どうしてこのジャンプが4回転ジャンプよりも難しいと言われているのですか?
埼玉で開催中のフィギュア世界選手権。女子シングルで優勝するのは誰だと思いますか?😊#埼玉 #フィギュア世界選手権 #フィギュアスケート
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) 20 марта 2019 г.
ドミトリエフ:これがフィギュアスケートで唯一、前向きの動きで跳ぶジャンプだからです。そのため、トリプルアクセルの技術は特別だと考えられています。このジャンプが難しいので、多くの選手はトリプルアクセルをすっ飛ばして、次に難しいジャンプである4回転を練習するのです。(編集部注:オリンピックでトリプルアクセルを成功させた選手は伊藤みどり、浅田真央、長洲未来(アメリカ)のみである。)
スプートニク:フィギュアスケートが若年齢化していることについて、どのように思っていますか?
ドミトリエフ:14歳や15歳の少女がシニアの極めて難易度の高いレベルの演技を見せているのであれば、彼女を世界レベルのシニア選手との競争から人工的に遠ざけるべきではありません。なぜならこれはスポーツの発展だからです。かつてはコーチたちが、選手がティーンエイジャーになるまでにスポーツも振り付けも同じように上手くなるよう習得させることができなかっただけのことなのです。しかし、今はプログラムの難易度も目に見えて上がっています。これは良いことです。かつて、専門家たちが同じようにエヴゲーニヤ・メドヴェジェワをジュニアにとどめようとしたことがありました。幸い、そうはならず、私たちは大きな国際大会で彼女の素晴らしい演技と勝利を目にすることができました。アリーナ・ザギトワが登場したときも、同じことが繰り返されました。多くの人が彼女はまだオリンピックに出るには小さすぎると言っていたのを良く覚えています。しかし、まさにその少女こそが平昌五輪での最初の金メダルをもロシアにたらしたのです。
近年の例をみていると、15歳が多くのフィギュアスケート選手にとって絶頂の年齢となっています。ユリヤ・リプニツカヤがオリンピックの団体で優勝したのが15歳でした。また、エヴゲーニヤ・メドヴェジェワが初めて世界選手権で優勝したのも16歳です。
スプートニク:しかし、トゥトベリゼのチームの4回転を跳ぶ少女たちは「使い捨ての金メダリスト」だという意見もあります・・・
ドミトリエフ:ティーンエイジャーの成長というのは、通常の生活においても難しいプロセスです。私は、ロシアの女子フィギュアスケート選手も時間とともに成長の問題を乗り越える術を習得するだろうと思っています。ちなみに、トゥトベリゼの少女たちの成功の要因は、練習での厳しい規律にあると思っています。私が何度も訪れて目にしてきた日本と同じです。日本の選手にとってコーチの言葉は一種の法律のようなもので、100%の従順と氷上での全力投球が求められます。私は、トゥトベリゼの少女たちのグループで似たようなものを目にしました。極めて集中力の高い練習とコーチの揺るぎない権威です。これこそが彼女の教え子たちの大きな成果に繋がっているのだと思います。
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