松屋はなぜロシアに進出するのか?ロシア一号店の本格オープンを前に、開店秘話を大公開【写真】

© Kristina Savitskaya松屋はなぜロシアに進出するのか?ロシア一号店の本格オープンを前に、開店秘話を大公開【写真】
松屋はなぜロシアに進出するのか?ロシア一号店の本格オープンを前に、開店秘話を大公開【写真】 - Sputnik 日本
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先月19日、モスクワ市内で松屋のロシア一号店となる「松屋メンデレーエフスカヤ店」のプレオープンイベントが行われ、牛めしやとんかつなど主力メニューの試食会が行われた。広々とした店内は、待望のロシア進出を歓迎し、間近に迫ったグランドオープンを待ち望む声であふれた。

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松屋は今回の出店により、モスクワに進出している唯一の日本の外食チェーン店となる。松屋フーズの安藤吉信執行役員戦略事業部長は、ロシアに店舗を開設するに至った経緯について、次のように話してくれた。

安藤氏「昨年の夏、弊社の取引先である『伸和ホールディングス』よりウラジオストクで手がけている『居酒屋 炎』で、松屋の牛めしを期間限定で出してみませんか?とお誘いを頂きました。そこで2週間限定で出したところ、ロシアのお客様に大好評でした。それまでロシアの外食産業といえば社内的にも全く情報がなく、議論したくてもできないような状況でした。その中で進出の決め手になったのは、伸和ホールディングスがウラジオストクで成功しているという事実と、そのサポートを行なっている北海道総合商事の実績です。ロシアで外食産業を成功させているビジネスパートナーと組めば出店できるのではないかと期待を持ちました。そして日本政府としても、日本の外食産業を広めるべく、農林水産省を中心に様々な事業を行なっているので、日本が国を挙げてロシア進出をサポートしているということも、社内の理解を得る一つの材料になりました。」

© Kristina Savitskaya試食会で自ら料理をふるまう松屋フーズ・安藤執行役員
松屋はなぜロシアに進出するのか?ロシア一号店の本格オープンを前に、開店秘話を大公開【写真】 - Sputnik 日本
試食会で自ら料理をふるまう松屋フーズ・安藤執行役員

北海道総合商事は、松屋のビジネスパートナーとして、ロシアにおけるフランチャイズ店の展開を行なう。その名のとおり北海道の地域商社だが、ロシア進出サポートの実績を買われ、日本全国からの依頼を受け付けている。同社の天間幸生社長は、日本企業がロシアに進出する際に障壁になるポイントを熟知している。天間氏は「展開サポートは我々の役目。日本企業は、技術やサービスに集中してもらって、二人三脚でやっていきます。」と話す。

天間氏「私たちは、まず現地に日本食の文化を広げた上で、日本の食品や農産物を輸出するという戦略をとっています。昨年4月には、子会社『ぺガスHC』(ウラジオストク)のモスクワ事務所を開設し、大都市での活動範囲を広げてきました。そのタイミングで、日本政府としてもロシアの大都市、モスクワやサンクトペテルブルクへの外食産業展開に力を入れているということだったので、このチャンスを生かしてモスクワでチャレンジしてみようと思いました。アジアには非常に多くの外食チェーンが進出していますが、ロシアにおける松屋は唯一無二の存在です。松屋は、ロシア進出を希望する他の外食チェーンにとっても、ロールモデルとなるでしょう。」

© Kristina Savitskayaプレオープンイベントで挨拶する北海道総合商事・天間社長
松屋はなぜロシアに進出するのか?ロシア一号店の本格オープンを前に、開店秘話を大公開【写真】 - Sputnik 日本
プレオープンイベントで挨拶する北海道総合商事・天間社長

開店にあたって二人が約束したのは、「ぶれない日本の味とサービスレベル」を守ることだ。モスクワには「ロシア風」日本食レストランが数え切れないほど存在し、真っ赤な三角形のロールやホット巻き寿司など、びっくりするようなメニューが並んでいるが、松屋では、日本人が美味しいと思う王道の日本食を提供する。安藤氏は、「モスクワで色々な日本食レストランへ行くたび、もっとやりようがあるのではないか、本物の日本食の文化をロシアに広めたい、という気持ちが強くなります。」と、あくまで本物を追及する姿勢を見せる。

モスクワにおける松屋のもう一つの特徴は、牛めしはもちろん、「松のや」のとんかつ、「松軒中華食堂」のラーメン、「マイカリー食堂」のカレーなど、松屋フーズが展開する業態の「おいしいとこどり」ができてしまうという点だ。一箇所で牛めしもとんかつもラーメンも食べられるのは、松屋の海外店舗の特徴だ。

そんな多彩なメニューを抱えながら、日本の味を忠実に再現できるロシア産食材を見つけるのは大変だった。牛肉の肉質などが全く違ったのだ。しかし、時間をかけてついに探し当て、定期的に仕入れる目処もついた。天間氏は「若い人を対象にしたお店でもあるので、ロシア産食材を生かして価格設定は控え目にします。美味しくて安くて価値がある、と判断されれば、あとはどんどん広がっていくでしょう。」と期待を見せる。

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メディア関係者にメニューを公開 - Sputnik 日本
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メディア関係者にメニューを公開
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にぎわう試食会 - Sputnik 日本
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にぎわう試食会
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ロシア人向けに甘めのカレー - Sputnik 日本
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ロシア人向けに甘めのカレー
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だしのきいたラーメン - Sputnik 日本
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だしのきいたラーメン
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メディア関係者にメニューを公開
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にぎわう試食会
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ロシア人向けに甘めのカレー
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だしのきいたラーメン

この日、試食会に参加したビューティーブロガーのヴェロニカ・ホヴァンスカヤさんは、「かつ丼の豚肉はとってもヘルシーで、すごくやわらかく余計な脂肪もなくて、とても美味しかったです。牛めしの牛肉はちょっと硬いかなと思いましたが、その食感は好みによると思います。牛焼肉は、甘辛ソースの味がはっきりしているのに、牛肉の味もしっかりと感じられます。モスクワのレストランでは、牛肉を頼んでも何の味もしないことが多いです。」と話してくれた。

日系企業に勤めるロシア人女性は「日本にいたときの家庭料理にとても近い味だと思います。カレーは、日本のカレーと比べるとソースが甘いと思いますが、美味しいです。」と話してくれた。

天間氏は今後の展開について「まずは一店舗目を成功させることです。うまくいくという確信はありますが、未知の部分もあることは確かです。完璧に準備をしてグランドオープンの日を迎えたい。」と話す。現在は、オープン初日から日本と同等のサービスができるよう、スタッフの最終研修が行なわれている。また、試食会で得た意見をもとに、メニューの最終調整が進んでいる。一号店がオープンしたあかつきには、5年以内にモスクワ市内に約30店舗を展開する予定だ。

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