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4月25日、ロシア極東ウラジオストクでロシアと北朝鮮の初首脳会談が開かれた。この会談は、ベトナム・ハノイで開かれた第2回米朝首脳会談の失敗を受け、北朝鮮が米国との対話の仲介役であるロシアに駆け寄ると決めたことを内外に示した。
その少し前、4月18日には、米国のモラー特別検察官によるトランプ政権のロシア疑惑についての捜査報告書が公表された。それによれば、2016年の米国大統領選挙において、トランプ陣営とロシアを結びつける十分な証拠は見つからなかった。トランプ米大統領は選挙前、ロシアとの関係の正常化を公約に掲げていたが、報告書が公表されたこのタイミングで、ロシアとの関係正常化というテーマに戻る用意がある。
14日、プーチン氏とポンペオ氏の会談の後で、ウシャコフ露大統領補佐官は、「私たちは今日、北東アジアでの強固な安全メカニズム構築に向け、ロシアが関係諸国との連携の意思があることをポンペオ氏に改めて伝えた」と述べた。
ポンペオ氏もまた、ロシアとの協調について「私たちは少なからぬ時間を過ごし、北朝鮮や、非核化を達成する手段について話し合った。私たちには共通の課題があると私は考えており、共に取り組めるような道を見つけられると期待している」と公式に述べた。
6月末に大阪で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でトランプ氏とプーチン氏が会談すると見られるが、このテーマが主要な議題の1つになる可能性は高い。だが、その協議は簡単ではないだろう。
北朝鮮はまたも、力を誇示する戦術に走り、5月初旬に2度、発射訓練を行った。
韓国のシンクタンク「世宗研究所」の鄭成長(チョン・ソンジャン)研究企画本部長は、「これは韓国からの挑発に応えた措置だろう」という見解を示している。
ともかくも、発射実験は節度を守って行われた。米国の専門家はこれらを、国連安保理の「決議1874」で禁止されている弾道ミサイルだとは認定しなかった。トランプ氏は、5月9日のミサイル発射は米朝の信頼を裏切る行為ではないとの認識を示しており、会談への扉はまだ開かれている。
9日に北朝鮮の北西部・平安北道の亀城(クソン)付近から発射されたミサイルは、性能から韓国の専門家が推測するところ、従来の短距離ミサイル「KN-02」を改良したものである可能性がある。最高高度はKN-02と同じく40〜50キロだが、射程は拡大され、200〜400キロとなっている。こういったミサイルの撃墜は難しい。これらの特色を鑑みると、北朝鮮の新ミサイルはロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」に似ている。米誌ナショナル・インタレストは、「イスカンデル」がロシア軍のもっとも危険な兵器だと指摘している。
またAP通信は、ミサイル技術を北朝鮮に与えたとして、ロシアを非難する記事を掲載した。
だが、「イスカンデル」のように効果的な兵器を北朝鮮が開発しているとしたら、米国が韓国に配備するミサイル防衛(MD)システムを脅かしかねない。この場合、「ロシアが北朝鮮のミサイル開発に関与した」との情報は、北朝鮮問題解決に向けたトランプ氏の尽力、プーチン氏との連携を弱める。そして重要なことに、問題を外交的に解決する邪魔にもなり得るだろう。