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AFPによれば、13の理由をめぐっては今月初旬、ドラマ配信後9カ月間の10~17歳の自殺件数が、過去の統計などから、想定される件数よりも195件多く、29%近い増加が見られるとの報告書が、米国児童青年精神医学会(AACAP)の雑誌に掲載された。また、29日に米国医師会(AMA)の精神医学会専門紙『JAMAサイキアトリー』に掲載された新たな研究結果によると、2017年4月から6月までの10~19歳の自殺件数は、想定よりも13%多く、女性の比率が高かった。
研究を行ったのはオーストリア・ウィーン医科大学の研究チーム。ネットフリックスは視聴者データを公表していないため、SNSから人気度を推測。配信開始後わずか3週間で約1100万回のツイートがあったという。研究チームによると、2017年6月以降はメディアでの注目がそれほどでもなかったため、研究の対象期間を4~6月に絞ったという。
ドラマ『13の理由』は、ジェイ・アッシャーの小説が原作。配信直後からその衝撃的な内容と巧みなストーリーテリングが大きな話題を呼んでいる。
ティーンエイジャーの自殺がテーマとなっていることから、専門家たちからは、自殺を美化したり、助長する恐れがあると、当初から懸念されていた。
シリーズの廃止を求める声に対し、ネットフリックスの代表は「無理して視聴する必要はない」と発言していた。しかし、自殺増加を示す研究結果は、簡単に無視していい内容ではない。
2018年11~12月の期間で若年層にしぼった調査結果では、「自殺念慮がある」と回答した人は30%(男性26%、女性34%)、「自殺未遂経験がある」と回答した人は11%(男性9%、女性13%)に上り、特に自殺念慮に関しては、2016年の20歳以上調査で明らかになった25.4%を上回った。自殺念慮の原因の4分の1は「いじめ」に関わっていた。
ストレスの多い現代社会では、潜在的に自殺願望をもつ若者が多数存在している。テレビやSNSには大きな影響力があるだけに、人間の命や尊厳について、しっかりとしたメッセージを発信してもらいたい。