元ハンセン病家族訴訟 政府が控訴しない方針 首相が「異例」の判断

© AFP 2023 / Kazuhiro Nogi安倍氏
安倍氏 - Sputnik 日本
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国によるハンセン病患者の隔離政策により家族も差別を受けたとして、家族らが国に損害賠償を求めた訴訟で、政府は控訴を行わず、計約3億7千万円の賠償を命じた熊本地裁判決を受け入れる方針を決めた。9日、安倍首相が表明した。これにより、元患者の家族を巡り、国の立法不作為や対策義務違反を初めて認めた判決が一審で確定することとなる。

政府の中には、「理屈で言えば控訴。(賠償を)家族にまで広げると前例になる」(高官)として控訴が妥当との見方もあったが、家族への人権侵害を考慮し、最終的に首相が判決を受け入れる「異例」の判断を下した。

首相は9日午前の閣議に先立ち、根本厚生労働相と山下司法相と協議、控訴しないことを指示した。首相は記者団に対し、「判決内容の一部に受け入れがたい点があるのは事実。しかし筆舌に尽くしがたい経験をした家族のご苦労をこれ以上長引かせてはいけない」とし、控訴しないというの判断に至ったと語った。

訴訟は、元患者の家族561人がハンセン病患者に対する国の隔離政策で差別を受けて家族の離散などを強いられたとして、国に損害賠償と謝罪を求めたもの。熊本地裁は6月28日、国の責任を認め、計約3億7千万円の支払いを命じていた。元患者家族の被害に国の賠償を命じる司法判断は初めて。

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