ブルームバーグが複数の銀行に取材したところ、ある銀行家は香港から資産を移しているのは複数の国に資産を分配して保管しているような大型富裕層に限らず、1千万ドルから2千万ドルの規模の資産を持つ市民も積極的に国外へと移していることがわかった。
ブルームバーグによれば、現在の政治危機のためにこれまで香港、中国にあった貯蓄が中国政府の影響の及ばない金融の中心地へと流出している。富裕市民はこれまで中国に預けていた資金を主にシンガポールへと移している。ブルームバーグはシンガポールには他の金融の中心地と比較して複数のプライオリティがあり、言語が同じであること、政治的な安定、そして地理的に近いことを列挙している。
6月9日にも100万人が参加したデモが行われ、改正案に反対する人びとが街頭に出た。改正案が採択された場合、身柄引き渡し条約の対象は、香港が現在これを結んでいない台湾、マカオ、中国本土などにも拡大される。
世論の反対意見の広がりから、香港当局責任者のケリー・ラム氏は、現在の行政課題からこの問題を外し、今後も取り扱わないとの決定を発表していた。しかし、そうした状況でも反対運動は収束に向かわなかった。