今年、ハメネイ師が最高指導者に就任してから30年を迎える。ハメネイ師の声明では頻繁に米国とイスラエルに対する厳しい評価が響く。若い頃のハメネイ師はシャー(国王)の専制に反対し、しばしば逮捕や拷問を受けていたという。拷問を担当したのは米国やイスラエルで訓練された特殊部隊隊員だった。
米は信頼しないが戦争には反対
ハメネイ師によると、米国がイランに圧力をかける理由はただ1つ。イランの天然資源の強奪だ。そのうえ、イランは好都合な場所にも位置している。
2008年、ハメネイ師は「米国との国交断絶は私たちの政策に基づいている。だが、永遠に関係が絶たれているとは一度も言っていない」と述べた。
ブッシュ(子)政権時代のあからさまに敵対的なイランと米国の関係から、オバマ政権時代にはよりプラグマティックな関係に移行した。ハメネイ師こそが、イランの一部エスタブリッシュメント層の反対にも関わらず、イランのロウハニ政権下で核計画についての米国との交渉に「青信号」を出した。
これは、後にトランプ政権が破棄する有名な核合意の道も開いた。
現在、イランと米国の対立は頂点に達している。米国は再び対イラン制裁に訴え、軍事力を活発に誇示している。イラン軍による米海軍のドローン撃墜を受け、米ホワイトハウスはイラン高官らに制裁を科し、ハメネイ師も追加制裁の対象になった。
最近、ハメネイ師は軍事衝突の可能性を否定。イラン側は米国への抵抗を続けるが、戦争はしないと述べた。
「戦争の理由がない」とハメネイ師は強調した。