韓国人は、日本を訪問する外国人のうちおよそ4分の1を占めているが、多くの旅行者がキャンセル料発生にもかかわらずツアーをキャンセルしている。2018年には、韓国からの旅行者は750万人以上という記録的な数だったが、今年はこの数字が見込めるはずもなく、すでに地元旅行社にとって損失となっている。
しかし、現代社会では、交換不可なものはないと言ってよいだろう。目下大手メーカーは、中国、台湾、そしてロシアと、フッ化水素提供の協議を行なっており、一般の韓国人は、日本での休暇の代わりになる旅行先を探している。今回の騒動は日本の旅行産業にどんな影響を与えるのか、そして韓国人旅行者はどこへ殺到するのか、京畿(キョンギ)大学校観光マネジメント学部の沈相振教授に話を聞いた。
沈氏「もし日本行きツアーのボイコットが、福島の原発事故のときのように自然災害に起因したものではなく、日韓の歴史認識の齟齬や他の問題による政治的側面の結果であるなら、日本へ行く観光客の数は大幅に減り、しかもそれは長い間続くだろう。」
沈氏によれば、以前、日本で自然災害が起こった際は、韓国人は被災者に対し義援金を集め、その地域が危険でないことを示すために、特別にその地を訪れたという。そういう形でもって、自分達の同情心を示したのだ。そのため、自然災害が原因での観光客減は、今までほとんどみられなかった。
しかしながら、歴史問題に対しての認識が全く違いすぎるため、一般市民はラディカルに反応するかもしれない。長期間にわたって、日本へ行く韓国人の数が劇的に減る可能性は大きい。
沈氏「今年、海外に出発する韓国人は、経済不況にも関わらず、およそ3000万人に達するとみられている。(編集注:韓国の人口はおよそ5170万人)つまり、韓国人にとって海外旅行はもっはや日常の一部なのだ。なので、日本を訪れた753万8千人の韓国人は、違う旅行先を探すだろう。台湾や中国といった定番の行き先だけでなく、ウラジオストクなど、ロシア極東の諸都市を訪れる人は、近年急速なテンポで増えている。」
ロシアと韓国の間では、2014年に観光ビザが撤廃され、ウラジオストク行きの航空券の価格はほぼ4分の1にまで下がった。それにより韓国人は沿海地方の中心都市であるウラジオストクやその他の町を積極的に訪れるようになり、ソウルから2時間飛ぶだけで「ヨーロッパ風スタイル」の町を観光できるようになった。ルーブルのレートが低いことも、この傾向に拍車をかけている。
2017年に沿海地方を訪れた韓国人旅行者は10万335人。翌年2018年にはなんと22万6849人にものぼった。126%の増加である。2018年に沿海地方を訪れた日本人の数は2万995人にすぎないことを計算に入れると、人口一人当たりの数で換算すれば、韓国人が沿海地方を旅行先として選ぶ確率は、日本人より26.5倍も多いということになる。
日本政府観光局の直近の公式データによれば、2019年1月から5月まで、日本を訪れた韓国人の数は前年比で5.8%マイナスとなっている。予定していた韓国人による日本旅行のうち、5件に1件はキャンセルになっており、この間の新しい旅行申し込みはおよそ30%減となっている。