火星に到達するには、宇宙飛行士は9ヶ月の旅をする必要がある。科学者らの予測によると、無重力状態ないし軽減された重力下でこのような長い期間を過ごすと、筋肉や骨に悪影響を及ぼす。
米ハーバード大のマリア・モルトロ氏によると、人間が宇宙で3週間生活するだけで、細胞のインスリン感受性は低下し始め、足の筋肉量は約3分の1に減る。国際宇宙ステーション(ISS)とは異なり、火星に向かう宇宙船ではトレーニング設備が設置されない。このような状況において、レスベラトロールは筋萎縮から体を保護することができる。
研究チームは実験用のげっ歯類で実験を行った。地球の重力の3分の1である火星の重力を再現するため、ネズミはケージの天井から吊り下げられた。実験に用いた動物のの半分にレスベラトロールを与えた。
ラットの脚力は、この条件下で、わずか2週間で約5~10%低下した。だがレスベラトロールが与えられた個体では、減少幅はごくわずかだった。
研究チームによると、レスベラトロールのこの性質は、この成分がインスリン感受性を高めることによって説明される。その結果、筋肉繊維がブドウ糖をよりよく吸収する。
宇宙飛行士のインスリン抵抗性が進行することが多い宇宙では、この発見は特に重要だ。
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