「日本新聞」は大正14年から昭和10年まで発行されていた日刊紙。発行部数はおよそ1万6000部と多くはないが、政官財に幅広い読者を持ち、戦前最大の右派メディアとして機能した。
創刊号には編集方針として天皇中心の国家体制を絶対のものにする「日本主義」と呼ばれる思想が掲げられているほか、見出しには共産主義思想を批判する表現が並んでいる。
創刊の際には、後の総理大臣、近衛文麿や東条英機といった政治や軍部、財界のトップらが支持者として名前を連ねており、国の中枢から地方の有力者まで幅広い読者を獲得していた。
日本では、昭和初期から急速に国家主義的な風潮が広がったとされており、日本新聞を分析することで当時の言論や思想の変遷を解明する手がかりになると期待されている。