パナソニックは独自の技術により、アジアを中心に自社工場で野菜を栽培し、消費者に届けている。特に野菜自給率の低いシンガポールでは、野菜を安定供給できるパナソニックの工場栽培が歓迎されている。冬が長く、広大な国土をもつロシアでは、夏場をのぞき新鮮野菜が不足している。
安全で美味しい野菜をいつでも供給できる温室栽培技術は、ロシアにとって欠かせないものだ。最高の栄養価を保つことのできる時間を考えれば、消費者の一番近くで野菜を栽培するというのは、実に理にかなっている。
パナソニック・ロシアのゲルマン・ガヴリロフ氏は「日本式の都市型垂直温室は、経済的な観点・ビジネス効果が、消費者の利益と合致する、めったにないビジネスモデルだ。消費者は、産地が明らかな無添加で栄養のある美味しい野菜を食べることができるし、生産側にとっても、長期にわたって確実に販売できる市場がある」と、プロジェクトのメリットを強調する。
住居の間近に温室ができることは、マンション購入を呼びかける宣伝材料になっており、ホームページではパナソニックの技術が紹介されている。マンションコンプレックス「クリリヤ」を手がけるロシアの大手デベロッパー「エタロン」の関係者は「近年、デベロッパーには、居住者の生活の質を向上させるためのサービスを拡大することが求められている。それは、イノベーション技術を使って実現できる。新技術を用いた温室栽培は、その好例だ」と話している。