まず、研究チームは、異なるエリアと水深で水のサンプルを250採集した。
これらのサンプルの中から、ネス湖に住む生物が鱗、皮膚の一部、羽毛、尿の形で落としたDNA断片が含まれていないかを探り、そこから得られた5億個のDNA鎖と、すでにこれまで判明している生物種のDNAデータベースとの照合を行なった。
その結果、研究チームが出した結論は、残念ながら、ネス湖には現在まで奇跡的に生き延びた古代のオオトカゲや首長竜プレシオサウルスのような、特殊な生態の生物は生息していないというものだった。ネッシーがいないどころではない。湖には巨大ナマズやチョウザメなどの巨大魚の存在を示す痕跡さえ、見出されなかった。
唯一、大きなサイズでありえる生き物はウナギであるとの結論を出した。
研究チームのニール・ゲンメル教授(遺伝学)は「採集作業によって得られた遺伝物質の数から、ネス湖に住むウナギが巨大なサイズに成長したと考えられます。人々が目撃したネス湖の怪物が実は巨大なウナギであったという説は否定できません」と語っている。
ネス湖の怪物の存在が記された最古の記録は6世紀にさかのぼる。
ネッシーに対する関心が高まったのは1930年代。地元紙がヘビやプレシオサウルスに似た不明生物の写真数点を掲載したのが火付け役となった。ある記事などは、その不明生物が道を横断する様子を目撃した人がいるとまで書き立てた。
1933年、インヴァネス・クーリエ新聞社の編集長がその不明生物を「ネス湖の怪物」と命名した。こうして世界で最も有名なミステリーは誕生したのだ。
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