防衛省が掲げるこの制度は「安全保障技術研究推進制度」。防衛装備品や兵器開発につながる研究を進めるため、防衛省が2015年度から始めた。防衛省は2018年度の公募テーマに物体を観測する技術を選び、その研究例として国立天文台のすばる望遠鏡を名指しで挙げている。
これに対し、同天文台内では「政府の介入が大きい」など問題視する声が相次ぎ、16年の教授会議で「安全保障技術研究推進制度もしくはそれに類する制度に応募しない」ことを決めた。
ところが天文台執行部は今年7月の教授会議で、方針の改定案を提出した。この改定案によれば、防衛省の同制度、もしくは類する制度に応募しないとの部分を削除し、研究成果を広く公開するなどの条件を満たせば応募できる。ただし、「軍事利用を直接目的とする研究は行わない」などの部分は残した。
改定案を出した理由について常田台長は、厳しい予算状況に言及したうえで、「経費削減には限界がある。研究費を増やすため外部資金を多様にしないと次世代につながる研究ができない。制度は一つのオプションとして議論したい」と説明した。