専門家は、太平洋の海洋資源が急速に減少している原因の1つとして、各国が発表している漁獲量の数値と太平洋の西部および中心部水域で現実に起きていることの間に深刻な差異があることを指摘している。
レポートに挙げられたのは違法な積み替えの事実。「2016年のデーターを分析した調査で太平洋西部、中央部水域の公海では違法に無報告、無規制な漁獲の積み替えが行われており、その額は年間、1億4200万ドルを超える。その大半のケースでライセンスを取得して操業する船は積み替えのデーターを提出していないか、不正確なデーターを出している」と指摘されている。
専門家らは、船は自動位置確認システムのスイッチを切り、自分から操業のコントロールから出てしまうという。
この他にも漁獲の報告を出している漁船は5隻に1隻たらずで、積み替えはいわゆる排他的水域外の公海で行われている。
違法操業はどこで行われているか
調査では、太平洋水域のどこで違法な積み替えが行われているかを突き止めた。
「自動確認システムがとらえた、海上での積み替えが行われていると疑われるケースの半分以上が比較的小さな2つの水域で起きている。1つが日本の近海で地域漁業管理機関(RFMOs)が管理水域。もう1つが中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の管理する太平洋中央部である。」
ピュー・チャリタブル・トラストはこの実態を変えるには各国政府の政治力と海洋の漁獲積み替えのシステム改革が必要と指摘している。
国際連合食糧農業機関(FAO)の調べでは、度を越した捕獲が行われてきた結果、マグロ、タラ、オヒョウ、メカジキといった大型の強食の魚の個体数の90%はすでに絶対に回復が望めない。
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