この日、領事が休暇だったため、旅行者たちはサン・マルコ広場の国際警察まで行かなければならなかった。しかし、警官たちは英語が話せないことが分かった。そのためオストロホワ さんは、オペラのフレーズを使って説明しようと決意した。
- Son disprezzata e sconsolata! Io manco, io moro... (私はすべてを拒み、ふさぎ込んだ。私は意識を失い、私は死んでしまう)
「私の認識では、『エウリディーチェ』と『パスポート』 という言葉には互換性があることから、オペラ『 オルフェオとエウリディーチェ』で試みようと決めた」 オストロホワさんは、「Che faro senza mio passaporte? Dove andro senza mio passaporte? (パスポートなしで私はどうしたらいいの?パスポートなしでどこへ行けというの?)」と訴えた。
これによって警官たちは旅行者が盗難にあったことを理解した。オストロホワさんは、地元のスリの写真を見せられ、 その中から泥棒を見つけ出した。その泥棒はヒジャブをした女性で、ある橋でオストロホワさんにぶつかってきた。
オストロホワさんは、「Ecco la donna maledetta! Vorrei smembrarla! (これこそ忌々しい女性!私は彼女を八つ裂きにしたい!)」と告げ、警官たちをとても驚かせた。
こうしてその日のうちにパスポートは彼女の手元に戻ってきた。 警官たちに感謝の気持ちを伝えようと、オストロホワさんは再びオペラのフレーズを利用した。オストロホワさんは、「Signore cavalliero! Vi benedico per la vostra bonta e gentilezza! (騎士のみなさん、みなさんの親切と慈悲に感謝します!)」 と 告げた。
警官は、彼女はほんとうにエレガントなイタリア女性だと強調した。
関連ニュース