石油納入条件が変わる これは日本にとって危機的なことなのか

© AP Photo / JOHN MOORE石油納入条件が変わる。これは日本にとって危機的なことなのか?
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JXTGエネルギーはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコから、10月以降に納入される石油のグレードが軽質油から重質油に変更されるとの通知を受け取った。これは日本にと手の懸念材料なのかどうか、スプートニクが専門家に話を聞いた。

これまでに伝えられたとおり、この納入条件の変更は、サウジアラムコの施設へのドローン攻撃がサウジアラビアの石油生産量をほぼ半分に削減させたことに関連しており、これはサウジアラビアのエネルギー産業の核心部に衝撃を与えた。ブルームバーグが伝えた。これを背景に世界の石油価格はすでに堅調な上昇を見せている。

アナリティカル雑誌『エクスペルト』の国際解説員であるセルゲイ・マヌコフ氏によると、日本では、この状況が年末までにガソリン価格の上昇を誘発する可能性があるという。「石油価格の上昇はインフレを誘発することが少なくなく、自動車産業はドイツと同様に、日本経済の推進力のひとつです。サウジアラビアは石油の出荷停止を起こさないように、信頼できるサプライヤーとしての評判に傷をつけないように努力しています。しかし、たった一回のドローン攻撃が油井だけでなく、石油産業インフラにも被害をもたらし、サウジアラビアの石油生産量に大きな影響を与えたことを考えると、この状況が日本を不安にさせる可能性はあります。」

重質油としての原油は価格も安いかわりに、望ましくない不純物が含まれており、追加的な精製が必要になるため、加工も難しい。そのため、重質油の価値はかなり低い。

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とはいえ、政治学者で国際関係と日本学の専門家であるドミトリー・ストレリツォフ氏は、サウジアラムコからの石油納入条件の変更が日本の経済情勢にとって重要なファクターになるとは考えていない。「日本は現在、かつてに比べて石油依存度を大きく下げています。石油は、軽質油も重質油も、現在の日本にとって主要なエネルギー源ではありません。日本の主要なエネルギー源は現在、クウェートのほか、オーストラリア、インドネシア、ロシアから輸入されるLNGです。もちろん、石油製品を消費する交通輸送部門はありますが、石油製品の主な用途は化学工業での原料です。原料としての石油価格が上昇すれば、石油化学工業にある程度の影響を与えるでしょうが、日本経済全体にとって危機的なものにはならないでしょう。」

インスタント・インベスト社のアナリティカル部門トップのアレクサンドル・ティモフェエフ氏もまた、現状に特に不安要素はないと考えている。「サウジアラビアは石油の納入を機動的に回復させると約束しました。そのため、いずれにせよ、現状は一時的なものだと考えるべきでしょう。もちろん、燃料価格が上昇すれば、それは日本のサプライチェーンにも影響を与えますが、ボラティリティが急激に大きくなることはないと考えるべきでしょう。」

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それでも、JXTGエネルギーはアラブ首長国連邦から軽質油を購入する計画だ。ロシアも他の国々と同様に世界市場で軽質油と重質油の両方を販売している。重質油を代表する品種がUralsであり、軽質油はSiberian Lightである。他にも、各種油田で生産された異なる比重の原油をブレンドした品種もいくつかある。

ロシアもUAEと同様に、必要とあらば、サウジアラビアから日本への原油供給不足を補填することができるかもしれない。しかし、ロシアの専門家はこの点について慎重で懐疑的な発言をしている。「日本は、政治的決定やアメリカとの戦略的同盟関係によって決まるエネルギー安全保障政策を優先しています。これが、日本のエネルギー資源市場においてロシアのシェアが大きく増えるとは考えにくい理由のひとつです。このほか、政治的側面以外にも、技術的な問題もあります。石油輸出にはパイプラインの輸送能力と長期契約という制約があるため、日本市場に回せるだけの余裕がロシアにどれほどあるのかは不明です。」


日本は石油の80%を中東諸国からの輸入している。そのうちの約半分がサウジアラビアからの輸入である。

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