スプートニク:88歳で新しい映画を作ることができたのは大変素晴らしいことだと思います。次の機会にはどんな映画をお作りになりたいでしょうか。また次回作の撮影についてお考えになられましたか。
山田監督:「困ったな~。自分の年のことを考えると怖くて、映画どころじゃない(笑)。でもアメリカにはクリント・イーストウッド(89歳)がいて頑張っているから、僕も一緒に頑張ると思います。あと、ポルトガルにはマノエル・ド・オリヴェイラという監督、それから日本では新藤兼人という監督で、二人とも100歳まで映画を撮られたから、まだまだ希望は持っていいじゃないのかなと思います。」
山田洋次監督からのメッセージ(抜粋)
「1969年8月27日『男はつらいよ』第1作が劇場公開された。
おりしもぼくたちの国は高度成長期の途上にあり、活気があって威勢のいい充実した気分がこの国を覆っていたように思う。そんな時代を背景にぼくたちの寅さんは勢いよく誕生し、作者のぼくが当惑するほどの人気であれよあれよと作り続けてついに48作を数え、渥美清さんの死によりシリーズ49作の特別篇をもっていったん終りを告げた。
そして今、先行き不透明で重く停滞した気分のこの国に生きるぼくたちは、もう一度あの寅さんに会いたい、あの野放図な発想の軽やかさ、はた迷惑を顧みぬ自由奔放な行動を想起して元気になりたい、寅さんの台詞にあるように『生まれて来てよかったと思うことがそのうちあるさ』と切実に願って第50作を製作することを決意した。
このシリーズ製作に関わった全ての出演者、懐かしいスタッフに想いを馳せつつ、松竹全社の努力を得て作り上げたこの作品と共に、50年目を祝いたい。
年末の公開より一足早く日向の皆さんと一緒に、このシリーズ製作に関わった全ての出演者、なつかしいスタッフに想いを馳せつつ、観られることを楽しみにしています。」