世界で情勢が悪化すると、米国は特に富裕層にとって安全と安心を提供する避難先としての役割を果たしてきた。米国に移住した香港市民の数は既に中国本土を除けば最多に達している。また、ブルームバーグが入手した最近のデータによれば、香港からの移住を検討する富裕層は益々増加する傾向にある。
ただし、米国では移民に対する反感をあおる政治的発言や銃撃事件が多発していることから、香港の海外移住希望者は、オーストラリアやカナダ、シンガポール、台湾など、他の選択肢を検討している。
香港中文大学が2018年年12月に行った調査によると、香港市民の3分の1が海外移住を検討していると回答した。最も人気のある目的地はカナダとオーストラリアで、回答者の割合はそれぞれ18%に達した。その次が台湾の11%、シンガポールの5%。米国が第1希望と回答したのはわずか2.9%だった。
香港では、中国の法律に違反している疑いのある人物や指名手配されている犯罪人を香港から中国本土に引き渡すメカニズムの確立を目的とした法案に反対する大規模な抗議デモが数カ月前から続いている。
また、10月5日には覆面禁止法が施行され、違反者には禁錮1年以下か罰金刑を科されることとなった。香港政府の対応を受けて、デモ活動は激しさを増し、警官による発砲事件も起きている。
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