タラソワ氏は、女子シングルに大いに希望を託している。
「グランプリシリーズのアメリカ大会は、新しいシーズンの面白い始まりになるでしょう。アレクサンドラ・トルソワ(編集注:15歳、エテリ・トゥトベリーゼコーチに師事。トルソワ選手はアメリカ大会でなくカナダ大会に出場)は、すでに4回転ジャンプを4回着氷しています。我々フィギュアの専門家も、女子シングルで、こういったレベルの演技を待っていますよ。」
ロシア代表でアメリカ大会の女子シングルに出場するのは、やはりエテリ・トゥトベリーゼ氏に師事する15歳のアンナ・シェルバコワ、22歳のエリザベータ・トゥクタミシェワ(アレクセイ・ミーシン氏に師事)、19歳のスタニスラワ・コンスタンチノワ(ワレンチーナ・チェボタリョワ氏に師事)だ。シェルバコワ選手にとってこの大会はシニアのデビュー戦となる。2019年、全ロシア選手権でシニアデビューした彼女は、五輪チャンピオンであるアリーナ・ザギトワや世界選手権で2度優勝しているエフゲニア・メドベージェワをおさえて、1位に輝いた。
ロシア選手の強力なライバルになるのが、3人の日本人選手だ。2018年の世界選手権で銀の樋口若葉選手、全日本チャンピオン坂本花織選手、そして3人の中で最も若い16歳の山下真湖選手だ。そして、前アメリカチャンピオンのカレン・チェン選手やブレイディ・テネル選手を含むアメリカ勢もライバルになるだろう。
オリンピックのフィギュアのペア部門で2回金メダルに輝いたアルトゥール・ドミトリエフ氏は、フィギュアの専門家たちは、今シーズンにデビューする新星たちが、来たる五輪の金メダル候補になるだろうと指摘。そこに今年のグランプリシリーズの面白さがあると話している。
ドミトリエフ氏は、現在では多くのスケーターが4回転ジャンプを習得しているものの、彼女らが成長するにしたがって、このような質・このような回数を維持できるかは疑問だとしている。ともかくも、4回転は、言うまでもなく、女子フィギュアにおける大きな分岐点である。
ちなみに、世界で始めて女子で4回転を成功させたのは、安藤美姫選手だ。
安藤選手は2002年のジュニアグランプリファイナルで4回転サルコウを成功させたが、シニア転向まであと2年もあった。その当時はトルソワ選手もシェルバコワ選手も生まれていなかった。