「ミーシカはモスクワの工業地帯に住んでいました。この犬は飼い主になってくれそうな人間を見つけようと、働く従業員の後をついて回りました。でも、誰もミーシカのことなど、気にもとめなかったのです。
ミーシカは通りすがりの人間に食べ物をねだって生き延びてきました。どこででも寝ました。寒い日には偶然見つけた小屋で寝ました。それでもミーシカは希望を失いませんでした。すれ違う人間が飼ってあげるよ、と言ってくれるんじゃないかと思って、しっぽを振って人間の後をついていきました…。ついていってはがっかりの繰り返し。1匹だけで、おなかがすいて、寒くて…。
私は7ヶ月前、車に乗っていて、偶然ミーシカを見かけました。その日からドッグフードの袋を持ってミーシカのところに寄るのが私の通勤ルートとなりました。私がこの犬をミーシカと名付けたのは、昔話に出てくる熊のように毛むくじゃらで気の優しい犬だったからです(注:ロシアのアニメや童話ではミーシカ、ミーシャという名の熊がよく登場する)」
動物愛護ボランティアのミラさんは、フェイスブック上で支援を呼び掛けた。
「ミーシカに新しい飼い主が見つかるよう助けてください! 新しい飼い主が見つかれば、ミーシカの長い野良犬人生も報われるんです!」
ところが長い間、誰からも反応がなかった。ミーシカが優しくて賢い目をしていたとしても、毛むくじゃらの大型犬を飼いたいと思う人はいなかったのだ。ところが、突然ミラさんの元にカナダに住むヘレンさんという女性から連絡が来たのだ。
ミラさんはヘレンさんと連絡を取り合い、ミーシカがカナダへ行く準備を進めた。ミラさんはモスクワの空港でミーシカと別れるまでのことを振り返っている。
「ミーシカが飛行機で国境を超えるのに必要なすべての書類を集めました。クラウドファンティングでカナダ行の航空代金が集まりました。モスクワの空港職員はミーシカを注意深く扱いました。動物ケージがミーシカの大きさに合っているかどうか、機内で凍えないよう確認をしてくれたのです。離陸前にミーシカ大人しくケージに入り、寝そべりました。本当のことをいえば、ロシアで飼い主が見つかってほしいと願っていたのですが…。」
ミラさんは、フェイスブック上でモスクワの空港からカナダの新しい飼い主の元へのミーシカ旅を順を追って写真や動画付きで報告した。
27日の朝、ミラさんの元にカナダのヘレンさんから写真が届いた。写真には、ヘレンさんがミーシカを車に乗せ、空港から一緒に帰っている様子が写っている。ミラさんは「ミーシカ、幸せになるんだよ!ミーシカの心の一部は永遠に私と一緒だからね」と別れの言葉をかけている。
ミーシカがカナダの飼い主の家に無事到着後、ミラさんは飼い主のいないミーシカが住んでいた犬小屋(ビフォー)と、カナダのヘレンさんとミーシカが一緒にいる(アフター)の写真を投稿した。
先日スプートニク通信社は、9月にカリブ海を襲ったハリケーン「ドリアン」から97匹の犬を救ったハバマ人女性について報じた。女性は怖がる犬たちを音楽やアニメを見せて気を落ち着かせようとしたという。