2016年、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究者らはオクラホマ州で大気調査を行った。調査期間は8~9月。農業地域をフィールドとし、特殊な装置で収集された20~60ナノメートルの微粒子の内訳が調べられた。
大気中の微粒子から大量に見つかったのは研究者らが全く予期しなかったものだった。キノコの胞子の断片。胞子は30ナノメートル以下と非常に小さいため、これまでの研究で見つかっていなかったものと推測されている。
さらに、キノコの胞子は人体にとって深刻な脅威となることが研究者らによって明らかになった。胞子はサイズが小さいことから肺に侵入しやすく、アレルギーやぜんそくの原因となる恐れがある。
キノコの胞子は、雨などの物理的刺激により胞子を大気中に飛ばす。なぜ雨や湿度の高い天気の時にぜんそくが悪化するのかは、この研究で説明がつく。
大量の胞子の断片が生まれる仕組み
大気中にキノコの胞子の断片が大量に満たされるメカニズムを明らかにするために、研究者らは実験を行った。その実験でキノコの胞子が大気中に放たれると、湿気を吸収、膨張し、そして直径30ナノメートルの断片に分解することが示された。そのため、大量の断片が大気中に漂ってしまうというわけだ。
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