感染症医のダイヤモンド・プリンセス告発動画 侵入者呼ばわりの厚労省副大臣に批判 

© AFP 2023 / Kazuhiro Nogiクルーズ船
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神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授が18日夜、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内のずさんな感染対策状況を告発する動画を発表した。

岩田氏は感染症の専門医として船内の状況を憂い、上船したものの、その日のうちに下船を命じられた。その後、「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか」というショッキングなタイトルでYouTubeを通じて、告発の動画を発表した。動画は神戸大学とは関係なく、個人の見解として公にされたが、この動画によって厚生労働省の発表してこなかった、船内のずさんな「感染対策」状況が瞬く間に知られるところとなった。

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告発動画で岩田氏は、船内の人から感染に対する恐怖の連絡を度々受け取っており、なんとか上船の機会を狙って厚労省内の人物とコンタクトをとっていたこと、最終的に災害派遣医療チーム(DMAT)の一員としての上船という条件で許可をもらったことを明かしている。

岩田氏は感染症の専門医として、世界の危険地域での経験が豊富な自分が今回はじめて自分も感染する恐怖を味わったと告白した。感染症専門家は医療者としての自分は感染リスクを負わない体制で作業をすることが基本だが、船内は感染リスクのあるレッドゾーンと、ないグリーンゾーンの区別さえなく、発熱し、自力で廊下を通って医務室に行く感染者とすれ違ってしまう。こうしたゾーンの区分けのないところでは防護服の着脱も用をなさないと岩田氏は指摘している。

岩田健太郎氏のツィッター

岩田氏は当然、専門家として厚労省担当者に提言を行ったが、岩田氏に感染症医師としての作業を一切期待していなかった役人に反感を買い、下船させられた。告発動画は、感染の恐れを告白する岩田氏が下船後に自分の居場所を明かさない状態で撮影した後、瞬く間に拡散した。ちなみに岩田氏は英語でも同じ内容で動画を発信しており、中国語にも訳されて、今や世界中の人がこれを見ている。

ところが、岩田氏の衝撃的な告発を知った厚労省の橋本岳副大臣は、自身のツィッターを通じてこれへの不服を示した。

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「なお昨日、私の預かり知らぬところで、ある医師が検疫中の船内に立ち入られるという事案がありました。事後に拝見したご本人の動画によると、ご本人の希望によりあちこち頼ったあげくに厚生労働省の者が適当な理由をつけて許したとの由ですが、現場責任者としての私は承知しておりませんでした。」

本来、ずさんな管理の責任を取る立場の役人のこのツィッターに怒りの書きこみが殺到。橋本氏は自身がダイヤモンド・プリンセスの現場責任者であったことも明かしてしまった結果となり、批判を集めている。

原口一博 国民民主党国会対策委員長(60)は19日、岩田教授と立国社会派所属の議員とをテレビ電話でつなぎ、質疑の機会を設け、ダイヤモンド・プリンセス船内の現状から新型コロナウィルス対策について耳を傾けた。その模様を収めた2本の動画はそれぞれテレビ電話①テレビ電話②と題し、岩田氏の許可を得て、YouTubeにあげられている。議員らはこれを国会答弁で審議していく方針だ。

原口氏の「医療資源をどう保全しながら国民の命を守ったらいいのか」という問いに、岩田氏は「日本に武漢を作らない」と言い切った。「武漢」はすでに何十万人の感染者がいる状況。岩田氏は「武漢」と同じ状態が日本の都市に出現した場合、許容は完全に不可能と断言する。日本では今「重症者の対応にシフト」と言われているが、岩田氏の解釈ではこれはイコール「発症させない」。新型コロナウイルスはまだ正体が解明されておらず、重症化させない、重症者の命を守る方法がわかっていない。だからこそ、そもそも発症させないことが重症者を減らす一番確実な方法だというのだ。岩田氏は、現在の日本の感染の発生状況はぽつりぽつりとしたクラスター的なもので、これをいかに広げないかが結局重症者を出さないことに直結するという。

今回、厚生労働省から侵入者扱いを受けた岩田氏だが、原口氏が政治家に対する提言を求めると、「今、世界中が日本の対策に注目している。都合のいいことも悪いことも隠さず公開」してはじめて世界も日本を認められると述べた。逆にこれが出来ない場合、岩田氏は日本人が世界から入国を拒否される事態になりかねないと憂慮を示している。東京五輪の開催も危ぶまれる中、日本はこの告発をうけて、どれほど誠実な対応を世界に示すことができるのだろうか。


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スプートニクは新型コロナウイルスに関するその他の疑問と回答について別記事でご紹介している。こちらの記事およびこちらの記事をお読み下さい。

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