ザハロワ報道官は記者会見で、「緊張緩和地域のイドリブ県で2月20日、大規模な装甲車部隊を動員したテロ勢力がシリア政府軍を複数回にわたって攻撃した」と現状を確認したうえで、「トルコ軍の援護砲撃を受けた戦闘員はシリア政府軍の包囲網を突破」したことを明らかにした。
テロ組織がシリア首都に侵攻するのを防ぐため、ロシア航空宇宙軍はシリア政府の要請によりSu24爆撃機で空爆を加えた。この空爆により、シリア政府軍はイドリブ県クミナスとナイラブの防衛ラインを突破したテロ組織を退けた。トルコ側の対応はソチ協定の合意内容を損なうとして、ザハロワ報道官はトルコ側に「重大な懸念」を表明した。また、シリアで活動するロシア国防省の各派和解調整センターはテロ組織への支援と武器の供給を中止するようトルコ軍に呼びかけた。
一方のトルコ軍側はロシア航空宇宙軍による空爆で兵士2人が死亡したほか、5人が負傷したことを明らかにした。
シリア北西部の対応をめぐり、ロシアとの対立が先鋭化しているトルコだが、ロシア製地対空ミサイルシステムS-400の導入については継続して前向きな姿勢を示した。
CNN Turkの取材でトルコのアカル国防相は「何があろうともS-400に関する協定は今後も継続する。訓練は継続中で、ミサイル配備に関する作業も予定通り進んでいる」とした。
一方、米国側が軍事支援を提案していることについては次のようにコメントした。
米軍はイドリブで我々を支援したいと言っている。もちろん、そこに米軍基地を設置するという話ではない。要は欧州に配備したパトリオットミサイルを横流しで供給したいといっているのだ。こうした提案を我々は歓迎したい。
また、シリア上空の飛行許可を巡り、アカル国防相はロシア側の対応に不満を示した。
我々はシリア上空の飛行許可を要求しているが、残念ながらロシア側は部分的にしか承認していない。いまこそ飛行許可が必要。この点について進展はあるし、交渉を続けている。このテーマは今後も議論する。
シリア北西部の対応でロシアと対立しているものの、トルコ側はシリア政府軍こそが標的であり、ロシア軍は攻撃対象ではないことを強調した。
イドリブを巡ってはロシアと交渉を継続する。共同パトロール活動も予定通り継続する。もちろん、状況によっては不可能なケースもある。悪天候や様々な状況がある。しかし、ソチ協定は土台であり、合意内容は順守する。ロシアと対立しているとは考えていない。我々の標的はあくまでレジーム(現行のシリア政府)。
トルコ側は共同パトロール活動に協力する姿勢を示したものの、実際にはこの活動に参加していない。現在はロシア軍が単独でシリア北部のアレッポ県、およびハサカ県で巡視活動を行っている。
トルコ政府は現行のアサド政権を支持していない。アカル国防相は取材の中で、シリア政府が憲法を制定し、「合法な選挙」によってシリアが「民主主義国家」として生まれ変わる暁には同国内から軍を撤退させる、としている。
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