乳がんと診断されたフランス人女性(29)は化学療法を受けなければならなかった。しかし、それが元で不妊になるケースが多いため、女性は化学療法開始前に生殖医療クリニックに行き、将来のために卵子を保存することにした。
医師らはその女性から未成熟卵を採取し、培養し成熟させた後、凍結させた。計7個の卵子が5年間、冷凍状態で未来の母を待った。
がんを克服し34歳になった女性は、凍結保存しておいた卵子を使って人工授精を行うため再び生殖医療クリニックを訪れた。凍結保存した女性の卵子7個のうち6個は受精に適していた。この6個のうち、1個のみが胚に成長し、女性の子宮に着床した。
それから9カ月後、女性は健康な男の赤ちゃんを出産した。研究室で培養した成熟卵をすぐに受精させ、母親の子宮に着床させる例は以前にもあったが、培養した成熟卵が長期凍結保存を経て、赤ちゃんの誕生に成功したケースは今回が初めて。