「お隣じゃないですか?」 ロシアと日本はもっと仲良くなれる 2人の日本の若者が大奮闘

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日ロドライブの山地英明さんと大森達郎さん - Sputnik 日本
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ここ数年、マスコミ報道に日露関係のニュースが出てくることはもう珍しくなくなった。政府レベルでも経済から観光まであらゆる分野でコンタクトを確立させようという動きがよくみられるが、成功しているとは言いきれない。極東のウラジオストクから北海道の札幌まではわずか768キロしか離れていないにも関わらず、隣りの国の人を私たちはあまりよく知らない。ごく一般的な日本人をつかまえて、「ロシアというと何を連想しますか」と尋ねてみたらよくわかる。「寒い」「熊」「ウォッカ」という答えが返ってくるのは想像に難くない。

…という寂しい現状がある一方で、今、私たちが迎えている時代は、今までになかったほどコミュニケーションの可能性が開け、互いの文化を知りあう機会に恵まれている。日本の若者にとってロシアの何が魅力となりえるのか。スポーツ、ポップカルチャー、観光か?接点となりうるものは多いかもしれないが、それに比べ、残念なことにつなぐチャンネルが少ない。 こうした条件下で香川県と岡山県在住の2人の若者が純粋な熱意とパッショ ンに燃え、隣り合う2つの国の対話を妨げている壁を壊そうと立ち上がった。



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日ロドライブとは?

山地英明さんも大森達郎さんも日露関係の専門家ではないが、生のロシアと出会ったことで、今まで持っていたステレオタイプをうち破り、自分の得た知識や印象をプロジェクト「日ロドライブ」でみんなと分かち合おうと決め た。「日ロドライブ」は形態としてはウェブメディアで、ロシア文化に興味を持つ日本人、日本に住むロシア人へのインタビューなどが掲載されている。 2019年、「日ロドライブ」はスプートニク編集部のスタッフにも取材している。当初は任意団体としてのスタートであったが、「日ロドライブ」は次第に成長し、一般社団法人「日ロ文化交流推進協会」の一事業に姿を変えた。スプートニクはこの協会のスターティングポイントとなったのは何か、この先、どこを見据えているのかを取材した。


そもそも、初めが変わっていた

「日ロドライブ」を立ち上げた山地英明さんは現在、インフルエンサー・マーケティング関連の仕事をしているが、ロシアへの実際の関心が湧いたのは数年前、イベント会社で働いていたときだという。

「ある時、香川県の『モンスターバッシュ』という野外フェスみたいなものがロシアにもあるとどこかで見たんです。『モンスターバッシュ』のチケッ トは8000円ぐらいなのに、そのロシアのイベントの入場料は無料でした。なんで?と思って調べたら、その会場全体に色々な企業の広告が貼ってあって、企業広告だけで成り立っていたイベントだったんです。それを見たときに、日本でも同じことをやりたいなと思って。それからロシアそのもののことももっと知りたいと考えるようになって、ロシアのカルチャーに関わる様々な人と会いたいとも思うようになりました。それが一番ロシアに興味を持つようになったきっかけでしたね。」

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山地英明さん
時間が立つにつれ、山地さんの知り合いの輪はどんどん広がっていき、香川県の中にこじんまりとした日露のコミュニティが出来上がっていった。「話をする中で、もっとその人たちのことを知りたいなと思いました。それに、適当に聞くだけじゃなくて、話を文章にもしたいなと思ったんです。そのために『日ロドライブ』を作りました。『日ロドライブ』は、日本とロシアをドライブするような感じで、冒険心を持ってインタビューしに行くというところから名付けました。当初は、人を繋げてあげれるような存在になりつつ、色んな人にインタビューするウェブメディアを運営できたらいいなというぐらいの事しか思っていませんでしたが、どんどん活動の幅は広がっていっています」。


四国からウラジオストクまで

「日ロドライブ」のタンデムのもうひとりは大森達郎さん。大森さんは訪日観光関連の分野で働いている。大学時代にはニュージーランドで留学したり、中国でのイベントに参加した経験がある大森さん。ロシアに親しむようになったきっかけや、自分の旅行が将来の職業の選択にどう影響したかを語ってくれた。

© 写真 : Shohei Oniki大森達郎さん
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大森達郎さん
「大学最後の年に世界一周をしてみようと思っていました。シベリア鉄道が面白そうだと思って、境港からフェリーでロシアのウラジオストクに入るという道を選びました。ロシアでは、言葉が通じない中で、周囲の人がすごく助けてくれました。」

外国への旅行は、知らず知らずのうちに西側の報道に毒され、ロシアをステレオタイプの目で一方的に見ていた大森さんの目を大きく見開かせたといえる。

「日本にはアメリカ側からのニュースばかりが入っているんです。ロシアについて私たちは全然知らなくて、なんとなく怖いイメージがありました。日本から見たロシアはどちらかというとネガティブな話題が多かったです。ちょうど私がロシアのウラジオストクやハバロフスクにいるときは、クリミアのことについてのニュースが一番ホットな時でした。その時に、たまたまなんですけど、逆にロシア側の人たちからクリミア紛争に対する意見を聞くことができて。結局、私はすごい中立的に見ていたつもりではあったんですけど、どっちも正しいことを言っているというか、どっちも確かだなと思ったんです。」

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大森達郎さん - Sputnik 日本
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日ロドライブの大森達郎さん
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日ロドライブの大森達郎さん
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日ロドライブの大森達郎さん
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日ロドライブの大森達郎さん
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日ロドライブの大森達郎さん
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日ロドライブの大森達郎さん
大森さんは自分のミッションは「人と物と情報を移動させること」ととらえている。大森さんにとってロシアは当初、「見えないという感じ、得体が知れないというイメージ」という印象だった。日本の中でも、特に中四国地方ではロシアについての情報はほぼ入ってこないに等しい。ところが入ってくる情報はというと、正誤が怪しいものばかりだという。

「ロシアは一番近いヨーロッパと言われていますが、私はウラジオストクへフェリーでいけました。飛行機でもウラジオストクまで2~3時間ぐらいですね。ウラジオストクの名前を知っている人も最近は増えてきましたが、未だに『ウラジオストクってどこ?』という人も結構います。お隣じゃないですかっていうね。」だからこそ大森さんは、隣国についての正しい情報を拡散することをプロジェクトの一番の課題にすえている。


これって、お得なんじゃない?

二人が目の前に見据えているのは実現可能な目的だ。山地さんは2019年からシェアリングエコノミーの展開をSDGs(持続可能な開発目標)に据えた。具体的にはどういうことなのか、山地さんはこんなふうに説明している。

「四国を世界一の島に整えることです。その整えるというのは、交通インフラ、サービス、医療など、何もかもをみんなでやりたいなと思いました。シェアの基本的な概念は所有から共有に変えることです。」

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山地さんはこの目的を遂行するためにもロシアとの交流から学ぶことが多いと考えている。そう考える理由はロシアは日本とは異なり、共有する文化が根付いているからだ。

「ロシアは、ダーチャとか二重拠点で生活したり、古いものをずっと大事にしたりするイメージがあります。ロシアはシェアするということが無意識にできている国だと思うんです。」

この他にふたりが確信しているのは経済的にも「日ロドライブ」が大きなポテンシャルを持っているということだ。山地さんはロシアとの交流に関する プロジェクトを伸ばすためにはロシアと日本の相互のマネーフローを増やすことが一番だと考えている。

「経済交流が進むことが、文化交流やそのほかの事業が順調に進んでいく一歩にも繋がると思うんです。そのためにも大事なのは人だと思っているので、日ロドライブは人と人との繋がりを含め、人そのものを大事にするメディアにしたいなと常々考えています。」

そのような中、エンターテイメントの分野で働く山地さんは、積極的に日本人の俳優をロシアの舞台に出演させることで、文化交流や経済交流を振興させるのも面白いのではと唱えている。

これには山地さんが日露関係に関わる要因の一つになった背景が大きく関わっており、海外の舞台等での出演経験が豊富な日本人俳優、四宮貴久さんとの出会いが、大きく影響したと語っている。

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「愛媛県の坊っちゃん劇場で上演されていたミュージカルで、『誓いのコイン』という、日露戦争時代の愛媛県・松山市を舞台にロシア兵俘虜と日本人女性の恋愛を描いた作品があるんですが、その『誓いのコイン』の主演が四宮貴久さんだったんです。これは愛媛県にある松山城から出てきたコインに 日本人女性の名前とロシア兵俘虜の名前が彫られていたことをきっかけにして作られた作品です。これは日本の演劇で初めてロシア政府から正式に招聘されて、ロシアでの公演を行った作品で、こうした両国に跨る作品を通じた相互交流にすごく魅力を感じたんですよね。」


この先はどうする、どうなる?

オンラインがどんなにアクティブに成長したところで、この先ウェブメディアという形態だけに頼ってプロジェクトを伸ばすことは難しくなる。長く展 開していくには様々な手段が必要となる。もちろん金銭的手段もそうだ。

自分たちの狙いを全て実現化するには法人化することが一番だと二人は判断これによって新たなステージに上がり、規模を広げることができると期待している。

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日ロドライブの山地英明さんと大森達郎さん
あと10年もしたら今の台湾や韓国のように日本にとっての隣国ロシアのイメージも変わり、経済交流や文化交流がより活発になる可能性がある。そうすれば、日露の交流に関わる法人に携わっている人の価値が上がると山地さんも大森さんは考えている。

もちろん、これが実現するには多くのファクターがひとつに集まらねばならない。そうなった暁には、結果的にどのような形になろうと「日ロドライブ」および「日ロ文化交流推進協会」は大きく躍進した日露関係の最先端にいたいという気持ちで頑張っている。

「日ロドライブ」をもっとよく知りたいという方はぜひ公式サイトをお読みください。

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