キリル・ダネリア氏が日本の版画を収集し始めたのは10年以上前のこと。今では同氏にとって版画芸術の収集は趣味を超えたものとなっている。「25年来、私は、エジプトやインド、アフガニスタン、中国など東方の骨董品を収集しています。中国の芸術品を通じて、私は日本に行き着きました。現在、私の日本の版画芸術のコレクションは3500作品以上あり、そのうち約2千作品が春画です。作品には多くの謎があることから版画芸術の収集はおもしろいと言えます。私は、どのように作者が日常生活の細部や身体の曲線部を描くのかを研究し、注視することに興味があり、また、美しい女性のしぐさやその服装、飾りなどを鑑賞することに関心があるのです。作品に記された説明書きを判読しながら、さまざまな作品の背景にどんな歴史的観点があるのか謎解きをする。作品はオークションや個人、日本や中国、米国、ニュージーランドのアンティークショップなどで購入しています。最近、私はある書籍を出版しました。その中には700作以上の春画が収められており、どれもとても価値が高く、貴重な作品ばかり。はじめその書籍のために、いくつかの版画作品で作者や時代などの特定を行ないました。自慢ではないですが、収集から現在に至るまでの結果は素晴らしいものになったと自負しています。」