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盗まれた人工呼吸器に不良品のマスク  スペインでは医療機器の調達が本当の闘いに

© AP Photo / Felipe DanaСкорая помощь перевозит пациента с коронавирусом, Испания
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世界中の医療システムがコロナウイルスのパンデミックに対して脆弱だったことが明らかになって久しい。これは、医師が時としてどの患者を救うかを選択しなければならない、とにかく全員には手が回らないといったことだけではない。往々にして病院に十分な数の医療機器がないのである。スペインにとって必要な医療機器の調達はまさに生存のための戦いとなった。数千人の命を脅威にさらす戦いだ。盗まれた人工呼吸器、不良品の検査キット、死を招くミス。これらについて、スプートニクがルポでお伝えする。

スペインの新型コロナウイルス流行は落ち着き始めている。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数と死者数の曲線はゼロに向かっているのだ。ただひとつ依然として上昇を続けているのが医療関係者の感染者数だ。4月21日、スペイン政府はその原因が医師や看護師を守るための医療資材の不足にあることを認めた。

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医療資材の不足は国内で新型コロナウイルスの流行が始まったばかりの2月半ば頃からすでに見られていた。3月初め以降、マスクの入手は一般市民のみならず、病院の職員にとっても困難となっていた。早くも3月25日には、5000人以上の医療関係者が新型コロナウイルスに感染していることが明らかになった。医療システムの状況は時間の経過とともに悪化の一途を辿った。現在、スペインの新型コロナウイルス(COVID-19)感染者の約15%が医療関係者で、その数は約3万1000人にのぼる。しかし、正確な数はまだ明らかになっていない。看護師協会の調査によると、感染者は約7万人となっている。病院は、学生、かつて病院で働いていた職員、短期の医療コースを受講した人など、少しでも関係する資格を持っている人は誰でも動員するという悲惨な状況だ。

中国製の不良品マスク

4月21日、El Pais紙は、スペインで1000人以上の医療関係者が隔離されており、さらに数千人が新型コロナウイルスの検査を受けなければならない状況にあると伝えた。病院に不良品の医療用マスクが納品されていたのだ。

スペイン政府は中国メーカーGarry Galaxyから 35万~40万枚(枚数に関する正確なデータはない)のマスクを購入し、4月初めにはこれらのマスクが全国各地に送られた。4月17日にマスクの不良が発覚し、政府はマスク回収の命令を出した。しかし、回収は困難を極めた。

というのは、El Pais紙が伝えたところによると、マスクが病院に納品されたのはイースターの週だったのだ。この週、スペイン人の多くは、医療関係者も含め、休暇に入っていた。そのため、マスクの員数確認が通常のように入念に行われなかったのだ。何人が不良品のマスクを着用したのかを明らかにするのも困難だった。これらのマスクは、不良が発覚するまでの間、10日間も使用されていたからである。スペイン看護師協会のジェネラル・アドバイザーによると、防護機能が10分しか続かないマスクを着用して1日中働いていた人もいるという。

© REUTERS / Comunidad de Madrid医療従事者
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医療従事者

検査キットが使いものにならない?それは自分のせいだ

このマスク事件は、スペインに不良品の医療用品が納入された初めてのケースではない。3月下旬、マスコミは、スペイン政府が中国から購入した迅速検査キットが機能していないと報じ始めた。そのすぐ後、このキットの有効性を調べていた複数の研究所が、SARS-Cov-2ウイルス検出精度が80%と謳っているこの検査キットの精度はわずか30%であると発表した。後に、このことはスペイン保健省でも確認された。

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不良ロットが納品されたという非難に対し、在スペイン中国大使館は、検査キットはShengzhen Bioeasy Biotechnology社から購入されており、この会社は推奨メーカーのリストに入っていないと発表した。正式なライセンスを取得していない企業だったのだ。

発注された検査キット64万個のうち、最初にスペインに納入されたロットは8000個で、その後さらに5000個が納入された。不良の発覚後、最初のロットは中国に返品され、Bioeasy社は交換を約束した。

4月21日、El Pais紙は、新たに納品された検査キットも不良品だったと伝えた。問題は依然と同様で、検出精度が30%に留まるというものだった。スペイン政府はすべてのロットの受取を拒否し、支払った代金が返金されることを期待している。

人工呼吸器は渡さない

スペインへの医療機器の納入に関する悲惨なストーリーはこれでは終わらない。4月初め、スペインのナバラ州とカスティーリャ・ラ・マンチャ州はトルコのメーカーに数百台の人工呼吸器を発注した。中国製の部品が使われた人工呼吸器だ。ところが、全ロットがトルコ政府に押収されてしまった。トルコで新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数が2万人を超えて以降、医療機器の輸出には保健省の事前承認が必要になったのだ。インディペンデント紙は、トルコは一度に94ヶ国から注文が入ったことで、国内市場で人工呼吸器の急激な不足を感じたと伝えている

この問題はほどなくして解決した。スペインのアランチャ・ゴンサレス・ラヤ外務大臣がトルコ政府は人工呼吸器を盗んだと非難すると、ロットは発送された。

同じような状況がイスラエルから購入したロットにも発生した。イスラエルでは先日来、国内で人工呼吸器が不足していることから、人工呼吸器の販売を禁じている。スペインはこの禁止の施行前にすでに代金を支払っているにもかかわらず、ロットは結局発送されず、外務大臣の問合せにも回答はないままだ。


このような状況が発生しているのはスペインだけではない。イタリア、トルコ、イギリスも医療機器の「窃盗」を訴えている。検査キットやマスクの不良品はジョージア、チェコ、アメリカ、オランダ、ベルギーなど、多くの国で発覚している。

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