金平一氏(65)は、北朝鮮の初代最高指導者、金日成氏の現存する最後の息子として知られている。平一氏は異母兄の金正日氏との権力抗争に敗れた後、ハンガリー、ブルガリア、フィンランド、ポーランド、チェコ大使をおよそ30年間歴任した。そして2019年、平一氏は平壌に戻された。
平一氏は欧州滞在中は目立たないように行動していたが、それでも印象を残していた。チェコの外務大臣を務めたルボミル・ザオラレク氏は、平一氏について「彼はまるで韓国から来たようだった」とその印象を述べている。ザオラレク氏は「彼はいつも慎重な発言をしていたが、それはいつも完璧で意味のあるものだった。そして他の北朝鮮人よりもはるかに自由な生活を送っているように見えた」と語った。
一部の北朝鮮ウォッチャーによると、平一氏は事実上疎外されているが、正恩氏のあとを継ぐことになるかもしれないという。それは主に平一氏が金一族の血を引いており、男性だからだ。また専門家らは、北朝鮮の保守的な男性指導部は、正恩氏の妹の与正氏が常に兄をサポートしてきたものの、若い女性の与正氏に権力を譲渡することに抵抗するとみている。
しかし、米国政府の元北朝鮮アナリスト、レイチェル・ミンヨン・リー氏は、平一氏が次の指導者になるための必要なコネや支持基盤を持っている可能性は非常に低いと指摘。一方で与正氏は政権の中で特別な地位にあるため、金一族の中での繋がりの強さが与正氏の性別に勝ると分析している。