IEAの専門家らは、旅客や貨物の運輸に対する段階的な規制緩和は、原油需要の回復の力となると考える。同機関の見込みでは、この間の新型コロナウイルスのピークの際、40億人がさまざまな規制を受けたが、こうした人々は5月末までにおよそ28億人まで減少することになる。
IEAの説明では、「多くの人びとがまだ規制下にあるにも関わらず、事業の一部は再開され、一定の人たちが職場に復帰し、そのことから原油需要の増加が生じる。こうした状況に着目し、私たちは需要が日量70万バレル高まると見込んだ」と指摘した。またIEAによれば、2020年に米国は主たる減産の調整を行い、その減少は2019年比で日糧280万バレルとなる。比較として、サウジアラビアでの産油は日量90万バレルの減産となる。
原油価格の下落
原油価格は3月頭に崩壊。その原因となったのはコロナウイルス蔓延による世界危機、そして OPECプラスの減産交渉の決裂だった。新たな協調減産には23 ヶ国が同意し、4月12日、合意締結の運びとなった。
新たな減産合意にこぎつけたものの、原油価格は高い水準で安定できないでいる。専門家はこれを、減産量が期待を下回ったこと、市場から過剰分を取り除くことができなかったためと見ている。依然として需要は少ないため貯蔵施設はほぼ限界状態のままだ。
石油貯蔵施設の限界は深刻で、WTI原油先物価格は大下落、一時マイナス価格となった。