新型コロナ感染拡大防止策としての各種制限措置は、石油市場に暗い影響を及ぼした。4月中旬には原油価格は約70%下落し、世界中で原油・燃料が過剰供給となった。一方で、IHS Markitのジム・ブルクハード副社長兼石油市場ヘッドは「最初にウイルス感染が起きた中国で石油需要がこれほど急速に回復しているということは、欧州や北米など他の市場における経済復活と石油需要回復の傾向に関して、希望的観測の根拠となる」と語る。
ロイター通信によると、各種制限措置の緩和以降、原油価格が戻ったという事実も、専門家にさらに明るい材料を与えているという。5月1日以降、北海ブレント先物価格は50%、WTI先物は約90%上昇した。
原油価格の下落
原油価格は3月頭に崩壊。 その原因となったのはコロナウイルス蔓延による世界危機、そしてOPECプラスの減産交渉の決裂だった。新たな協調減産には23 ヶ国が同意し、4月12日、合意締結の運びとなった。
新たな減産合意にこぎつけたものの、 原油価格は高い水準で安定できないでいる。専門家はこれを、 減産量が期待を下回ったこと、 市場から過剰分を取り除くことができなかったためと見ている。 依然として需要は少ないため貯蔵施設はほぼ限界状態のままだ。
石油貯蔵施設の限界は深刻で、WTI原油先物価格は大下落、一時マイナス価格となった。