報告書では、「2020年に天然ガスの世界市場はかつて最大の需要ショックを経験するおそれがある。天然ガスの記録的な需要の低下が予想される。新型コロナウイルスのパンデミックが衝撃となり、そのことがなくとも市場は弱体化している」と指摘する。
IEAは、世界の天然ガスの急激な需要低下を最後に記録したのは2009年で、その際は2%の下落だった。2019年にはガスの世界需要は1.8%または700億立方メートル増加した。
IEAによれば、天然ガスの需要の減少は、それぞれの分野と地域で予想されるが、先進国の市場と電気エネルギー生産部門が大部分を占めることとなる。
また、IEAは、2020年の需要低下の大部分は2021には回復すると予想する。特に、需要の積極的な増加は、天然ガスの魅了的な価格で利益を得ているアジア太平洋地域で予想される。欧州や北米の先進国の市場も、ガスの需要損失分が産業と電気エネルギー分野で回復することから、損失の大部分を取り戻すことになる。また、一連の国々が石炭から天然ガスへ継続的に移行することによるプラス効果も期待される。