「スパシーボ」は京都下京区の「たき川旅館」近くにオープン。朝8時から営業しており、店主のトルストワさんによると朝の通勤時にピロシキを買う人もいるそうだ。実は、新規開店の計画は前から温められていたわけではなく、新型コロナに後押しされた形になる。コロナの影響で文化関係者の多くは仕事を失った。ロシアダンスサークルを主宰し、ロシア語を教えているビクトリア・トルストワさんも例外ではなかった。スプートニク通信の取材に応じたビクトリアさんは、開店の経緯について次のように話している:「パンデミックの真っただ中で、仕事もなく生計も立てられなくなりました。求職情報を調べましたが、私と同じような人はたくさんいました。そこで何とか状況から抜け出さなければいけない、と。いま借りている家の家主さんと話をしたところ、承諾してくれました。店の名前は自然発生的に決まりました。普通の日本人はロシアについてあまり知りませんが、“スパシーボ”という言葉を知っている人は大勢います。」
通常、消費者需要が落ちている時に店を開くのはリスクを伴う。けれどもビクトリアさんは悲観的にならず、京都のロシア系住民だけではなく、日本人もターゲットにしている。
「スパシーボ」ではマトリョーシカやチェブラーシカ、手工芸品だけではなく、ピロシキや蜂蜜、紅茶、サラミ、ソバの実、ペリメニ、スィロク(カッテージチーズのチョココーティング)、クッキーなども購入できる。
もちろん、小さな店のような零細企業には宣伝広告が足りない。そこで活躍するのは友人、そのまた友人、SNS、店頭で配るチラシなど。ビクトリアさんは、春から延期されている京都ロシア文化フェスティバルが秋には開催されると期待している。フェスティバルには大勢の参加者が集まるはずだ。「スパシーボ」」に興味のある人は、ぜひ訪れてみて欲しい。