ニューズウィークの報道によれば、ミシガン大学の調査ではフィリピン近くのマリアナ海溝の水深7000メートルおよび1万メートルとニュージーランド付近のケルマデック海溝で魚と甲殻類のサンプルが採取された。
その結果、これらの生物の体内からは水銀よりもさらに有害な有機水銀化合物のメチル水銀が検出された。神経細胞に特異的に作用する神経毒は、水銀の海洋投棄で海底の微生物に代謝が起きた結果、形成される。
水銀の大部分は、石炭、石油の燃焼や金属の採掘、生産といった人間の活動の結果、海洋に流れ込む。水銀は、一部は地表に沈下し、他は大気に放出され、降水によって海洋に入ってしまう。
この調査結果は「ゴルドシュミット地球化学会議」で発表され、水銀が海洋の最も深い地点まで浸透している事実が明らかにされた。水銀は食物連鎖によって微小な海洋生物から大型の生物へと伝わり、やがては人間へ至る。