使用済み機器
月のゴミの大部分はNASA飛行士らと米国、日本、インド、欧州の無人宇宙船に責任がある。実験用の機器、月面で働いた挙句、地球には帰らなかった探査機がそうだ。
月面探査機
米アポロだけでも、地球の衛星の表面には3機もの月面探査機を残していった。それぞれの機器の重さは重力のある地球上では210キロもある。とはいえ、無重力状態の月面ではそれもわずか35キロになるのだが。
宇宙飛行士の捨てたゴミ
宇宙飛行士らは地球から持ち込んだ物を使って月面で実験を行い、その後、すっかり物の回収を忘れてしまっていた。例えば「アポロ15号」のデビッド・スコット飛行士はガリレオの法則を確認するために同じ高さから金づちと鷹の羽を落とす実験を行っていた。この法則では空気抵抗のないところではどんな重さの物も同じ速度で落下するはずだ。金づちと鷹の羽は同時に月面に着地した。ところがこれを回収しようとは誰も思わなかった。月面には他にもトイレの役割を果たした袋がおよそ100個、ブーツ12足、写真、テレビカメラ、熊手、シャベル、防護服、使用済みウェットティッシュ、宇宙食を食べた後の容器などが残されている。米国のチャールズ・デューク飛行士はわざと家族写真を忘れてきた。妻と二人の子どもと移した写真はポリエチレンの袋に包まれ、月に残された。この他にも宇宙飛行士たちが故意に月に残したものがある。それは米地質学者ユージン・シューマーカー氏の遺灰だ。シューマーカー氏は生前月に行きたいと夢見ていたからだ。
月の「お掃除」は必要?
月でのミッションを終えた機器の回収はあまりに高額につく。バリー氏は、月に置き去りにされたゴミも時間がたてば考古学的価値が出てくると解釈している。昔の機械の破片は未来の世代に、祖先が月面でどんな実験を行ったかを雄弁に語ってくれるだろうというわけだ。
以前、スプートニクはなぜ人間は月、火星で生活できないかについて、専門家らの見解を紹介している。